「JAバンク」で知られる全国の農協の信用(金融)事業で、2004~12年度の9年間に、職員による貯金の横領などの不祥事が861件あり、被害額は187億円にのぼることがわかった。JAバンクをとりまとめる農林中央金庫(東京)が明らかにした。

 農林中金によると、不祥事は横領が多いという。被害総額の8割弱は職員本人などが返し、返済されていない被害額は45億円だった。不祥事の発生件数は04年度は176件だったが、08年度は76件、12年度は54件と減少傾向にある。

 表面化した不祥事の例では、JAおおいた(大分市)で07~11年に元支店長が顧客の定期貯金を無断で解約し、1億2100万円を着服した。JAながさき西海(長崎県佐世保市)では、元支店長代理が04~05年に顧客の貯金約616万円をだまし取った。