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2人死亡バス事故 運転手に体調変化か
3月3日 21時20分

2人死亡バス事故 運転手に体調変化か
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3日朝早く、北陸自動車道のサービスエリアで夜行バスが大型トラックに追突し、バスの運転手と乗客の2人が死亡、24人が重軽傷を負いました。
警察によりますと、死亡した運転手は事故の前に動かなくなり、異変に気付いた乗客が「大丈夫か」と声をかけていたということで、警察は運転手の体調の変化が事故につながった可能性もあるとみて調べています。

3日午前5時すぎ、富山県小矢部市にある北陸自動車道の上り線の「小矢部川サービスエリア」で、仙台市から石川県の加賀温泉に向かっていた夜行バスが、停車していた大型トラックに追突し、その弾みでさらに別のトラックと接触しました。
この事故で、バスの乗客24人と交代を含めた2人の運転手の合わせて26人のうち、バスを運転していた宮城県角田市の小幡和也運転手(37)と乗客で金沢市の高校教諭、小野善広さん(48)の2人が死亡しました。
また、ほかの乗客と追突された大型トラックの運転手が病院に運ばれ、合わせて10人が足や顔の骨を折る大けがをし、14人が軽いけがをしました。
警察によりますと、事故現場から600メートル手前の高速道路本線の左側のガードレールと160メートル手前のサービスエリアへの進入路の右側のガードレールにそれぞれバスがぶつかったような痕があったということです。
また、乗客からの聞き取りで、死亡した運転手が事故の前に動かなくなり異変に気付いた乗客が「大丈夫か」と声をかけていたということです。
警察は、運転手の体調の変化が事故につながった可能性もあるとみて、バス会社から話を聞くなどして調べています。

死亡の小野さんはいちばん前の座席に

宮城交通によりますとバスは、1列に3つの座席がそれぞれ独立して並んでいて、10列ありました。
5列目と6列目の右側の座席に当たる部分がトイレに当たり、全部で28席ありました。
死亡した小野さんは、いちばん前の列の左側に乗っていたということです。
乗客の40代の男性は「ガンガンと何かにぶつかる音がしてから、乗客の1人が運転手に対し『寝ているぞ。何をやっているんだ。運転を代われ』と叫んでいるのが聞こえました。追突が起きたのはそれから10秒もしないうちで、速度もそれ以前と変わっていないように感じました」と話していました。

乗客「衝撃で目が覚めた」

乗客などは富山県と石川県の8か所の病院に搬送され、手当てを受けました。
このうち砺波市の市立砺波総合病院には7人が搬送されて乗客1人の死亡が確認されたほか6人が鼻の骨を折るなどの重軽傷だということです。
診察した家接健一救急部長は取材に対し、「皆口かずが少なくショックを受けていたようだ」としたうえで、「乗客の1人は『衝突の直前、ガードレールか何かにぶつかり、その後トラックに衝突した』と話していた」と述べました。
また南砺市の南砺市民病院には6人が搬送されました。
軽傷だった金沢市の22歳の大学4年生の女性は「追突した衝撃で目が覚めましたが、追突する直前にも2、3回ガタガタと何かに乗り上げたような縦揺れがありました。バス会社から謝罪の電話がありましたが、事故の状況について詳しく説明してほしいです」と話していました。

医師が「運転支障なし」判断

バスを運行する仙台市に本社がある「宮城交通」は青沼正喜社長が記者会見を開き、「極めて重大な事故で皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ありません」と謝罪したうえで、「お客様の家族には誠心誠意、対応したい」と述べました。
宮城交通では、運転手に年2回の健康診断のほか、平成22年から眠り出すと呼吸が止まってしまう状態を繰り返すことがある「睡眠時無呼吸症候群」の検査を順番に受けるよう義務づけていました。
死亡した運転手は去年10月に検査を受け、経過観察が必要とされましたが、従業員などの健康管理に当たっている医師にはバスの運転に支障はないと判断されたということです。

国の安全基準満たしたか調査へ

おととし、群馬県の関越自動車道で乗客7人が死亡した事故を受け、国は新たな安全基準を設けました。
基準では、夜間、運転手が1人で乗務できる距離は、原則400キロより短くすることを求めています。
これに対してこのバスでは仙台から終点の石川県の加賀温泉までの573キロの道のりを、2人の運転手が交代で運転しながら向かっていました。
事故が起きたサービスエリアを含めて合わせて4か所で運転手が交代しながら運転する計画だったということです。
また、国の安全基準では、運転前に11時間以上の休息をとることを求めています。
これに対し死亡した運転手は、1日、仙台市内の乗り合いバスを午後1時前から11時前まで運転したあと、2日午後8時半ごろに出勤するまで21時間半ほど休息をとっていたということです。
その後午後9時45分仙台駅発のバスに乗っていました。
宮城交通では、もう1人の運転手から聞き取るなどしてこうした運転の状況が国の基準を満たしていたかどうか、詳しく調べることにしています。

現時点で明確な違反見つからず

3日朝、富山県で、夜行バスが大型トラックに追突した事故で、国土交通省は、3日午前、宮城県名取市にある「宮城交通」の営業所に職員を派遣し、午後5時ごろまで監査を行いました。
その結果、この営業所では、死亡した運転手を含めた運転手の健康管理や勤務管理、それにバスの運行計画について、今のところ、明確な違反は見つかっていないということです。
また、死亡した運転手は、去年10月の睡眠時無呼吸症候群の検査で、経過観察が必要だと診断されましたが、医師からは、バスの運転に支障はないとされていました。
この運転手は、ほかに、直ちに乗務を取りやめるような持病はなかったということです。

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