2014年03月02日

ジュゴンはいるのか?

よし、これ書いてみよう。
ちとスッキリするかもしれん(笑)


昨年末に仲井間知事が辺野古埋め立て申請を承認した。普天間の移設工事が本格的に始まることとなる。

自分は普天間の危険性除去のため「いたしかたない埋め立て」と見ているんだけど、この承認手続きに違法性があるとして、県議会が「百条委員会」なるものを設置し、知事はじめ関係者を呼んでの追求をしているそうだ。
マスコミなどの報道を見ても、違法性があると決め付けたような報道がなされている。

自分が見た感じは、この百条委員会なるものの設置や、その報道に大変な違和感を感じる。

そもそもの疑問なんだけど、委員会では「自然環境保全について不可能であり、違法性がある」旨追求しているようだ。では、自然環境保全ができた埋め立てがあるのだろうか?埋め立てすればその海がなくなることは、誰だってわかる。


辺野古の埋め立て承認手続きが「環境面で違法」とするならば、すべての埋め立てが違法行為であるはずなんだけど、他の埋め立ては全く問われていない。なぜだろう?


豊崎や潮崎、東浜の広大な埋立地も、レジャー目的で埋め立てされる人工ビーチも、先日ついに着工した「那覇空港第二滑走路」も、埋め立て部分の自然は喪失するわけで、同じ海のはず。
第二滑走路の埋め立てについては、つい数日前に大々的に行われた起工式の様子も報道もなされているんだけど、扱いにあまりにも温度差があるのではないだろうか・・・。
【琉球新報関連記事】http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-220463-storytopic-4.html


「辺野古には豊かな生態系がある」と言う人がいるかもしれないけど、それは海を見てない人(興味のない人)が言う、無知なセリフだろうと思う。
水はたしかににごっているが、那覇空港沖を含む都市部の海も豊かだと強く言いたい。



那覇沖のウミガメ。頻繁に見かけた


那覇空港沖に限定していうと、サンゴが多く、ウミガメはどこの海でも頻繁に見かけるし、軽自動車くらいありそうなウミガメ(たぶんオサガメ)を見て驚いたこともある。
那覇空港沖にはシーズンになればザトウクジラが寄ることもある(慶良間が有名だが、結構寄ってくる)
ジュゴンの餌となるアマモ場もインリーフ内にあるし、夏になればアジサシが飛来している(子育てのためのようだ)
なぜこんだけわかるかと言えば、当然その海に通っていたから。昔からこのブログを見てる人ならわかるだろうけど、以前自分が営業していた遊漁船(釣り船)は那覇空港裏が一番のポイントだった。
思ったほど儲からないのと管理が大変だという理由もあったが、釣り船を辞めた一番の理由は「那覇空港第二滑走路の埋め立てが決定したこと」であった。大きなポイントがなくなるので、かなり厳しいなと考えての判断だった。


ただ、那覇空港沖ではジュゴンは確認されていない。
ということで辺野古埋め立てに関しては「ジュゴン」が焦点となるわけなんだけど、ジュゴンについて調べるにあたり、たいへん不可解にかつ「これはおかしい」と感じたことがある。

不可解に感じたこととは、「ジュゴンを守れ」「ジュゴンを守りたい」という人がいるわりに、調査・資料があまりにも少ないことだった。

自分は釣りをしていてジュゴンを見たことがないし、探すにしても個体が少ないジュゴンを個人で探すことは無理だと思う。
ちなみに、友人は15年以上前か、西海岸本部港付近に住み着いた、弱ったジュゴンを見たことがあるそうだ。
(今思えば、本部港付近に住み着いたジュゴンについての報道に記憶がないが、釣りや海に興味がある自分がこの手のニュースを見逃すはずがなく、後述する印象操作は既にはじまっていたのかもしれない・・・)

そこで参考文献を探すことになるんだけど、まずはweb、特にウィキペディアを追って調べることになる。
ウィキペディアなら、どの文献に載っているかという「出典元」が記載されていて、この文献を追って調べることができるので、非常に便利だ。

文献や書籍を書くとき、自分自身で調べることは当然大事。
これを補填し、疑問を調査し、または考察するうえで「参考文献」の存在は、その資料の信憑性を挙げるうえでは重要な情報となる。しっかりした本なら巻末に「参考文献」の一覧がある。記述について不明な点があれば、参考文献を調べることで考察することが出来、また、不十分な部分を補填することもできる。
自分が釣り雑誌でライターやってたとき、このことに気づいてからは、その手の話題では参考文献という形で記載することにしていた。


というわけで、ウィキペディアを見て、概要を調べる。
不可解なことにこれだけ「ジュゴン」の保護が焦点となっているのに、「出展元不明」の注意書きが出る。
つまりは参考となる調査・資料がない。非常におかしな話ではないだろうか?


辺野古移設に反対する人たちは「辺野古にジュゴンがいる」というし、
移設推進・容認・保守的な立場の人は「ジュゴンはいない」という。
果たして、どちらの意見が正しいのか・・・


正直書くと個人的には、「自然を守れ」「ジュゴンを守れ」という移設反対派の人の主張をあまり信用したくない。

というのも、本当にジュゴン保護をするならば、きちんとジュゴン保護活動をしているだろうし(これは後述する)、そもそも、まじめに保護活動をしている人たちがフェンスにゴミを括ったり散らかすような事はしない。
環境保全・保護活動をしている人なら、ポイ捨てやゴミの飛散にはかなり敏感になるはずで、そういう行動は絶対にしないと思っているためだ。


しかしながら、移設推進派や保守的な一部の人たちが「ジュゴンはいない」とする主張もまた、即座に信用することができない。恐らくなんだけど、辺野古の漁師さんにインタビューした動画が、伝言ゲームのように伝わったのが原因ではないかと思う。



漁師にもいろいろいて、ジュゴンが食べるアマモ場があるインリーフで営業している漁師は少ないだろうし、数の少ないジュゴンは相当な警戒心を持っていると思われるから、人目に触れなくて当然じゃないかと考えられる。
呼吸のために浮上してくるジュゴンとはいえ、肉眼や水中からの目視で見ることは難しい。
空から探すとかじゃないと・・・・


空からといえば、県内某局のヘリが「古宇利島」「大浦湾(安部)」沖でジュゴンを確認したという映像があった。大浦湾についてはジュゴンと風景の映像につながりがなく不可解である旨web上で指摘が多く、すぐに映像が消されてしまったが、古宇利島沖の映像も消されてしまったようだ。
webには写真と記事のみ残っている。
http://www.qab.co.jp/news/200905048802.html
即座に信用できる映像とはいえないが、空からなら警戒心の強いジュゴンを確認できることがわかる。


では、空から調査した資料がないものか・・・調べたら、すぐに見つかった。
ニュースでも話題になっている、県知事が埋め立て承認することとなった「環境影響評価書」だ。

環境影響評価書提出にあたっては反対派とモメるため明け方に提出するなどの様子が報道されていたが、評価書というのはものすごく分厚い思量だ。普通の人は読む気を無くしてしまう。

しかしながら、どのような課題を、どのように調査し、どのような問題があり、どのように影響を与えない(減らす)ようにするという環境影響評価書を要約した資料なら、ちょっと頑張れば読むことができる。
この環境影響評価書、実は一般の人も読むことができ、沖縄防衛局ホームページで閲覧することができる。
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukayouyakuhosei/hyoukayouyakuhosei.html

(公開されているので特定秘密ではないが、反対派やマスコミからすれば「知られちゃまずい記述満載」の特定秘密なのかもしれない・・・笑)

要約版(数多くの調査を取りまとめたもの)では、ジュゴンに関して2ページの記述があり、大変興味深いことがわかる。

PDF形式:http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukayouyakuhosei/14.pdf

------

☆航空調査が行われており、嘉陽沖で個体A、古宇利島沖の個体B、個体Cが確認されている。
☆古宇利島沖の個体Cが、平成20年度から嘉陽沖から大浦湾に移動。個体Aよりも広い行動範囲を持っている。
☆個体Aは昼間は沖合いに、夜間は(嘉陽インリーフのアマモ場に移動して)捕食している。水中ビデオにも朝夕の移動の様子が記録されている。
☆食み跡は嘉陽地区で頻繁に確認され、大浦湾では行動範囲の広い個体Cと見られる食み跡が確認された。辺野古沖では確認されなかった。

そのほかに
☆明治~大正の捕獲、戦後の食糧難によるダイナマイト漁による減少
☆宜野座沖~金武沖において平成17年度まで2頭のジュゴンが確認されていた。減少(確認できなくなった?)理由については不明。

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これらの情報を読み解いていくと、出典元不明のウィキペディアがどこから情報を得ていたのかわかる。
また、環境影響評価書では辺野古に限らず、辺野古以外の海域もジュゴン調査も行い比較検討が行われていることもわかるし、なぜジュゴンが数を減らしたのか理由も掲載されている。これらはジュゴンを保護(増やす)うえでも重要な情報だと思うのだが・・・


環境影響評価書は沖縄防衛局が実施したもので、事業主体の調査は信用できない、という意見もあるかもしれないが、そういう感情論もいかがなものだろうかと思う。防衛局の調査が信用に値しない、ということであれば、並行して市や有志で調査業務を発注して、客観的な調査を行うことでより正確な検証を行うことができたはず。海を守るためであれば、予算つけて徹底的に調べることもできたはずだけど、なぜかそういう事はしていない。
それでも大々的に捏造する業者がいるなら、その業者はつぶれるだろうから、外注することである程度の正確性を持たせることはできると思う。


これは推測でしかないが、別途調査することで「辺野古にジュゴンはいない」ということが明確になるため、調査しなかったのではないかと思う。
というのも、こうした調査はやたらめったら調査するわけではなく、何らかの参考資料や聞き取りにもとづいて調査するためだ。
辺野古の漁業者が「見たことない」といえば調査は難航するだろうし、環境影響評価書にも辺野古での生息(定着)はないとされている。そのなか「ジュゴンはいるから!」と調査しても、見つかる確率は非常に低いのではないかと考えられる。
魚とか小さい生き物であれば調べれば出てくる可能性があるけど、図体が大きく呼吸するために浮上するジュゴンは、いないとする調査を覆すことは難しいと思う。


そろそろ結論をまとめると・・・

☆移設反対派が主張する「辺野古にジュゴンがいる」は信憑性に乏しく、いない可能性が高いのではないか。
☆移設推進・容認・保守的な人の一部が主張する「ジュゴンはいない」も誤りであり、正確には「辺野古にはジュゴンはいないが、嘉陽沖、古宇利島に定着する2個体が、大浦湾を含む広い範囲を回遊する1個体がいる」が正確ではないか。
☆根拠資料としては環境影響評価書しかなく、「辺野古にジュゴンがいる(定着している)」と明確にできる、信憑性のある調査・資料がないため。


普天間基地の辺野古移設は、市街地化した普天間基地の危険性除去のためで、海上を飛行することで人的リスクを減らそうというのが考えではないかと理解しているんだけど、当然ながら事故があれば海も汚れる。実際、宜野座村のキャンプハンセンのHH-60墜落現場では有害物質が確認された(山原の国頭マージ地帯は砒素は元々多い地域だし、鉛は釣り場のほうがほどひどいと思うのだけど・・・)

安全管理をしっかりしてもらい事故ゼロにつとめてもらうのは当然だけど、年末に民間観光ヘリコプターが古宇利島沖に墜落したことも、もっと問題視すべきではないかと思う。その海域にはジュゴンがすんでいることが確認されているわけだから。


反基地運動と環境保護・保全活動がごっちゃになってしまったために、環境に関わる活動が「胡散臭いもの」としてとらわれている流れがあるし、何よりも「反基地運動=環境活動」となってしまったために、地域の環境保全に無関心な人が多くなっていることに非常に残念に思う。


もし本気で埋め立て反対、海を守りたい気持ちがあるのなら、リーフを埋め立てて作る「人工ビーチ」が新設されても、喜んだりしないでしょうから。
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また書くよ。

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