「軍強制」詳細開示 / 慰安婦記録で公文書館 /河野談話から20年
| 個人が特定される部分に画像加工があります 国立公文書館で開示されたバタビア裁判の判決文(画像の一部を加工しています) |
法務省によると、資料名は「BC級(オランダ裁判関係)バタビア裁判・第106号事件」。 49年までに、オランダによるバタビア臨時軍法会議(BC級戦犯法廷)で、旧日本軍の元中将(有期刑12年)、同少佐(死刑)など将校5人と民間人4人を強姦(ごうかん)罪などで有罪とした法廷の起訴状、判決文など裁判記録のほか、裁判後に将校に聞き取り調査をした結果が含まれる。
計約530枚で、法務省がこれらを要約したものが談話作成の際に集められた資料の一つとなった。原資料は99年に同省から公文書館に移管され、神戸市の市民団体の請求に対し、9月下旬に開示した。
元陸軍中将の判決文などによると、戦時中の44年、ジャワ島スマラン州に収容されていたオランダ人女性を、日本軍将校が命じて州内4カ所の慰安所に連行し、脅して売春させた。
判決文には将校らの証言として「州警察の長に、遊女屋用の女をキャンプで選出するよう依頼した」「婦女は○○(将校の名)の要請により州の役人が連れ出した」「女たちは遊女屋に入るまで、どういう仕事をするのか聞かされていなかった」と記載されている。
資料に含まれ、中将が帰国後の66年、石川県庁で行われた聞き取り調査の記録によると、中将は「連合軍の取り調べとなると、婦人たちもあることないこと並べたて、日本軍部を悪口する」と戦犯法廷に反論する一方、「(慰安婦となる)承諾書を取る際も若干の人々に多少の強制があった」と述べた。
法務省司法法制部は「古い資料のため、作成の経緯は確認できない」と話している。
▼慰安婦問題の資料次々
旧日本軍の慰安婦問題で、軍の関与と強制性を認めた河野洋平官房長官談話から今年で20年。この間、談話を裏付け、補強する資料が研究者や市民団体の活動で次々と明らかになった。一方、安倍晋三首相は過去に、事実誤認があるとして河野談話の見直しに言及したことがある。
これまでに国立公文書館やアジア歴史資料センター(東京)などから開示された資料には/(1)/陸軍省が慰安所設置を決めた「 野戦酒保規程改正に関する件」、/(2)/第35師団司令部が軍施設として慰安所運営規則を定めた「営外施設規定」、/(3)/政府が慰安婦の渡航を認める閣議決定をしたことを示す「渡支那人暫定処理に関する件」、/(4)/インドネシアや中国での慰安婦強制連行を示す東京裁判の尋問調書―などがあり、いずれも軍や政府の関与、強制性を示している。
安倍政権は現在、「河野談話を踏襲している」との立場だが、第1次安倍内閣の2007年には「強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」と閣議決定した。
資料を収集してきた一人で、市民団体「強制動員真相究明ネットワーク」の小林久公(こばやし・ひさとも)事務局長=札幌市=は「河野談話の事実認定にはあいまいな部分があり、閣議決定はそれさえ覆した。政府は新たな資料できちんと事実を認定し、慰安婦問題の解決に向けて取り組んでほしい」と話している。
(共同通信)