2014年3月3日12時54分
ある時は音もなく敵に近づいて作戦を実行し、またある時はひっそりと耳をそばだてて情報を集める――。日々の任務や詳しい性能が秘密の厚いベールに覆われている潜水艦。その最新鋭艦「はくりゅう」(基準排水量2950トン、全長84メートル)の航海について、海上自衛隊が2月下旬、朝日新聞など一部の報道機関に初めて公開した。「海の忍者」の実力に迫った。
海洋進出が著しい中国を念頭に、日本政府は昨年末に策定した防衛大綱で、潜水艦を今の16隻から今後10年間をめどに22隻に増やす方針を打ち出した。記者が2泊3日の同乗取材を許可された「はくりゅう」は、2009年に就役した「そうりゅう型」潜水艦の3番艦。新鋭潜水艦の公開によって、周辺海域の警戒監視態勢の強化をアピールする狙いがあったとみられる。
「探信音探知120度」。敵艦が潜水艦を探すために出す音波を、水中音波探知機(ソナー)で捉えた水測員の声が響く。海面上に上げた潜望鏡で哨戒長が画像を確認し、「目標、敵艦船」と報告。吉田薫艦長(40)が「配置につけ」と号令をかけると、薄暗い発令所はたちまち約20人の隊員で埋め尽くされた。「本艦の任務は敵艦船の撃破である。4番管発射始め」。「プシュー」という音とともに魚雷は敵艦めがけて発射された――。
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朝日新聞社会部
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