ウクライナ:露、クリミア占領進行…欧米はG8不参加検討

毎日新聞 2014年03月03日 01時11分(最終更新 03月03日 01時40分)

 ウクライナ南部クリミア半島でのロシア軍による事実上の占領が急速に進行していることが2日、明らかになった。ロシアによるウクライナへの軍事介入決定を受け、国連安全保障理事会は1日に緊急会合を開催、米露両首脳も電話で協議したが、平行線をたどった。欧米は6月にロシアで予定する主要8カ国(G8)首脳会議の不参加も検討しており、ロシアと欧米の関係悪化は決定的となった。

 クリミア自治共和国の首都シンフェロポリから東25キロにあるペレバリノエ村では2日、ロシア軍とみられる重武装の兵士数十人がウクライナ軍駐屯地の外を固めていた。住民の話によると、兵士は装甲車数十台で乗り込み、ウクライナ側は抵抗しなかったという。

 現地の報道では、クリミア半島でウクライナ海軍の艦船約10隻や国境警備隊の船が別の施設に避難したほか、ロシア軍がウクライナ軍施設から銃や弾薬を持ち去ったと伝えられている。

 ウクライナ軍は2日に予備役招集を開始。ヤツェニュク首相はロシアの行動について「脅しではない。現実的な宣戦布告だ」と批判し、「我々は壊滅的な状況に差し掛かっている」と欧米の支援を呼びかけた。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は、派兵の最終判断や時期を決めていないと説明し、まだ軍事介入に踏み切っていないとの立場を示した。メドベージェフ露首相は1日、ヤツェニュク首相との電話協議で、「クリミアで(ロシア系)市民や軍に関する合法的な権益を守る権利がある」と述べ、派兵決定の正当性を主張。1日の安保理会合では、ウクライナのセルゲーエフ国連大使が「ロシアによるウクライナ侵攻を止めるための可能な限りの対処」を国連加盟国に要請した。

 オバマ米大統領は1日、プーチン大統領と約1時間半にわたって電話で協議。クリミアでのロシア軍の動きについて「ウクライナの主権と領土保全に対する明白な侵害で、国際法違反だ」と述べた。国際監視団の現地派遣を提案したほか、ソチで開くG8首脳会議に向けた準備会合に米代表団を参加させない方針を伝えた。英仏カナダも足並みをそろえる構えだ。ケリー米国務長官は2日、テレビ番組でロシアの在外資産凍結を検討する可能性に言及。

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