遺言書>>遺言書の文例

「妻に全財産を残したい場合」の、遺言書の文例

 妻に全財産を残したい場合、遺言書の文例には以下の2つがあります。
 
 (1)シンプル作成

               遺  言  書
 
 
 
  遺言者 山田太郎は次の通り遺言する。
 
  遺言者に属する一切の財産は、妻 山田花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。
 
 
   平成○年○月○日
 
   東京都港区六本木○丁目○番○号
   遺言者 山田太郎 
 
  
  
 (2)丁寧作成

               遺  言  書
 
 
 
  遺言者 山田太郎は次の通り遺言する。
 
  1、妻 山田花子(昭和○年○月○日生)には以下の財産を相続させる。
 
   (1)、土地
   所在 東京都港区六本木○○
   地番 ○番○
   地目 宅地
   地積 ○平方メートル
 
   (2)、建物
   所在 東京都港区六本木○○
   家屋番号 ○番○
   種類 居宅
   構造 木造スレート葺2階建て
   床面積 1階 ○平方メートル
        2階 ○平方メートル
 
   (3)、預金
   @港銀行六本木支店の遺言者名義の普通預金 口座番号 123456
   A新宿銀行歌舞伎町支店の遺言者名義の定期預金 口座番号 777777
 
  2、その他遺言者に属する一切の財産は、妻 山田花子に相続させる。
 
  3、遺言執行者として、妻 山田花子を指定する。
    遺言執行者は、遺言者名義の預貯金の名義変更、払戻、解約、その他
   本遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有する。
 
  4、付言事項
    お父さんが死んでも、お母さんが生活に困らないようにこの遺言書を
   書きました。私の大事な子供たちである一郎と和子には、財産が相続
   されませんが、立派に生活していけると安心しています。一郎と和子は、
   お母さんを見送った後に、財産を仲良く分けてください。
 
 
   平成○年○月○日
 
   東京都港区六本木○丁目○番○号
   遺言者 山田太郎 
 
  
 
 遺言書の全文の書き方は、遺言書の書き方を参考にしてください。
 

ポイント

 妻に全財産を残したい場合、遺言書の文例には上記の2つがあります。基本的には(1)シンプル作成でも、遺言書としては問題ありません。しかし、(2)丁寧作成の方をお勧めします。
 なぜなら、妻のほか子供がいるのに、妻に全財産を残すような遺言書を作成したら、争いがおこるかもしれません。子供には、遺留分が保障されており、請求する権利があります。もちろん、子供が異議を申し立てなければ、何の問題もありません。ただし、先の見えない現代では、ちょっとのお金でも欲しいと思う人は多いです。昔では考えられなかった、小銭をめぐって、親と子供の争いが増えています。ですから、付言事項で、妻に全財産を残す理由を書いておくと良いでしょう。上記例のようなものが書いてあるのとないでは、子供の感情は全然、違います。感情にうったえかけ、かつ、後に母親から相続ができるので問題ないと子供も思うでしょう。ただし、先妻の子や婚外子(非嫡出子)がいる場合は、トラブルになる可能性があります。
 遺言執行者は、指定しておいてください。遺言執行者を指定しておくと、手続きが比較的、スムーズに進みます。また、預金口座の開設されている銀行名、支店名、預金の種類、口座番号が具体的に表示され、遺言執行者である妻に対し預金を払戻する権限を与えることを書かれている方が、銀行の窓口も安心して払戻に応じやすいはずです。
 土地、建物(特にマイホーム)についても具体的に表示しておいてください。土地、建物は遺産の中で、通常一番高い価値となります。そこで、遺言者は、土地、建物を妻に相続させる意思であることを他の法定相続人に対し明示し、相続争いの防止を図ろうというものです。特に、マイホームの場合、残された妻にとっては、生活に必要なものですので、具体的に表示しておいてください。
 なお、妻に全財産を残す遺言ですので、遺言書を妻に預けておくと良いでしょう。遺言書の検認が必要であると、事前に説明しておくべきです。