なぜ、こんなことになったのか。世界が将来の発展に期待した、新万能細胞STAP細胞。うら若き開発者である小保方晴子さんの論文に、次々と疑義が呈されている。劇的な名誉挽回はあるのか。
すでに「ミス」は認めている
「私は、いまとなっては小保方さんたちの研究を、非常に懐疑的に見ています」
ケンブリッジ大学幹細胞研究所のジョゼ・シルヴァ博士は、こう語る。
「最初は徹底的に研究されているように見えました。しかし、彼女らが『ネイチャー』に発表した論文には、いくつものミスが含まれていたのです」
画期的な研究成果だけでなく、30歳という若さやチャーミングさ、「割烹着で研究」という個性的なスタイルで〈美人研究者〉〈リケジョの星〉などと報道が過熱した、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー。
「ノーベル賞確実」と騒がれ、前途洋洋に見えた彼女の研究に、思わぬ疑惑が投げかけられている。
「夢の若返りも可能かもしれません」
と小保方さんが発表で述べた、新発見の細胞。
ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞に似た性質を持ちながら、作製方法は格段に簡単。
〈マウスの細胞をオレンジジュース程度の弱酸性の液体に浸すだけで、体のどんな細胞にも成長できる万能細胞にすることができた〉
学問的にも常識を覆す大発見であり、再生医療での幅広い応用も期待できる新技術—。
そんな夢のような存在として大々的に発表されたのが「STAP細胞」(スタップさいぼう=刺激惹起性多能性獲得細胞)だった。小保方さんらの研究をまとめた論文は、1月29日付で世界的な科学誌『ネイチャー』に掲載された。
「ところが2月上旬から、海外の論文検証サイトPubPeerなどで論文に『不自然な点がある』などと指摘され始めたのです。専門家からも『本当にSTAP細胞ができたのか、間違いではないのか』と疑う声が出てきました。小保方論文への逆風は、急速に強まったのです」(全国紙科学部記者)
これを受け、理化学研究所は2月13日から調査を開始。新聞やテレビも「小保方論文に疑惑あり」と次々報じた。「最悪の場合、捏造なのではと囁かれている」などと伝えるメディアさえ出てきている。
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