【ワシントン=川合智之】日米欧など主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)の首脳は2日夜(日本時間3日午前)、ロシアによるウクライナの主権と領土の侵害を非難する共同声明を発表した。状況が改善するまで、6月にロシア南部ソチでの開催を予定する主要8カ国(G8)首脳会議の準備会合への参加を見送る。ウクライナのクリミア半島ではロシアが現地掌握を進める動きが続いている。
共同声明はウクライナ問題を巡り対ロシアで日米欧がまとまっていることを示す狙いがある。声明ではウクライナが国際通貨基金(IMF)との間で交渉している資金支援や経済改革の動きを支持することも示した。IMFの支援が世界銀行やEUなどの追加支援を得るために不可欠だとも強調した。
オバマ米大統領は2日、ドイツのメルケル首相、英国のキャメロン首相、ポーランドのコモロフスキ大統領と電話で対応を協議。ロシアの軍事介入に深刻な懸念を表明した。1日にフランス、カナダ首脳と電話協議したのに続くもので、対ロシアでの包囲網づくりを急いでいる。
ケリー米国務長官は4日、ロシアによる軍事介入で緊迫するウクライナを訪問し、新政権首脳らと会談する。ウクライナの主権と領土保全を支持し、新政権を支援する方針だ。
ケリー長官は2日の米テレビ番組で、ロシアの行動を「19世紀的だ」と批判。ロシアの海外資産凍結などの経済制裁、査証(ビザ)の発給停止を検討し、ロシアへの圧力を強めて国際社会で孤立させる考えを表明した。ケリー長官は「平和的な解決を求める」とも述べ、現時点での軍事的行動については否定的な見解を示した。
菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、外交ルートを通じてロシア政府に「全ての当事者が法の支配とウクライナ領土の一体性を尊重して、最大限の自制を発揮し責任ある行動を取るべきだ」と伝えたことを明らかにした。日米欧がG8首脳会議の準備会合への参加を見合わせる声明を出したことについては「準備会合は成立しない状況になってきている」と述べた。
一方、ロシアのインタファクス通信によると、ウクライナ海軍トップのベレゾフスキー司令官が親ロシア派が主導権を握るクリミア自治共和国首相に忠誠を宣誓。独自の海軍づくりに乗り出した。ロシアは自治共和国政府と歩調を合わせてクリミアを掌握する動きを強めている。
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