03−
Essay03

「料理研究開発食人」

制作日時:1999/2/中旬※後々追補など有り



食事。
そう、
この一言に含まれた生命活動の(超略)ですな。

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そんなわけで、まあ男の一人暮らしだと大体そうなりますが、
どうやら自分の作る料理もご多分に漏れず、
正確には料理と言わないらしいもので。
どうにもこうにも料理というものは、
「食える物をつくる」
ことではない
らしいのだよなあ的な。
どーもそのスジの人に聞くと、
やはり料理というものは、
「おいしいものを作ることでしょ?」
となるらしいわけでして。


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では、
それでは今まで自分がやってきたのは何なのだ?
「実験、
 もしくは開発。
 でも後に残らないから研究じゃないわね」

とか言われてしまったりで。
どーしたもんだこりゃ全く。
でもなあ、
自分だって栄養とか、
何たらバランスとかを一応は考えてモノを作っておるわけでさあ。
何でも肉4:草3:米3とかの比率だったらいいってもんじゃないのよ」
ううう。
参るなあ。
プロにはやはりかなわんのですな。
情けない。
仲間内とかで集まると、

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「ふーむ、
 何を作ってんの」
「カレー」
「あ、
 自分で粉ぁ組み合わせて作ってやるヤツだ。
 ふーん、
 できんの?」
「できるよ。
 家ではいつもこーだし」
「なるほど、
 色々入れるんだよなあ。
 ドグラマグラとかいうの入れなかったっけ?」
「は?」
「あれ?
 ケサランパサランだっけ?」
「……グランマサラでしょ?」
「ああ、
 それそれ。
 良く知ってんなあ」
「バカ言ってないで、
 あ、
 それ取って」
「これ?」
「それはシリカゲル
 とかいう会話が平気でなされてしまうのですが。

 一体……。


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大体、
自分らの料理というか実験開発の基礎という物は、
仲間と集まって、
「どわっ!」
とやるものであって勢いに頼る性質が強く、
そーいう性質の料理、
いや実験……、
いやいや実験料理……、
いやいやいや料理開発……、いやいやいやいや(略。

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とまあ、
そういうもんが多くなります。
例えば、
「究極・一人あたり二キロ焼き肉!」
「恐怖・割り下洪水によって茹で鍋と化したスキヤキ!」
「豪華・ステーキ肉オンリー焼き肉!」
「豪快・小麦粉五キロのお好み焼き!」
「熱血・サーロインしゃぶしゃぶ!」

とか、
何故か枕詞が料理らしくない豪のものばかりですが。
こーやって考えてみると確かに料理と言うよりも格闘とか、
やけっぱちとか、
何となく、
アチョー系統のことばかりやってる気はしますな。
この前のサーロインしゃぶしゃぶは凄かったなあ。
初めはマトモだったんだけど、
後から、
「じゃあ本日のメインでーす」
とか妙に明るい声と共に、
全員の持つ皿の上に二百五十グラムのサーロインが、
「食えっ」
という感じで乗っかるわけで。(乗せたのはじぶんですが)


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皆が、
一瞬だけ嫌な顔をしたように見えたのは、
気のせいだろうか……?

※ここ爽やかに読んでください※



気のせいですよね。
だがあ、
そこですぐに湯へブチ込むのは、
格闘料理道では白帯レベルの人間がすること
ですな。
既に赤帯ランクの俺達はやれやれと顔を見合わせ、
「このブツを、
 そのままシャブする(しゃぶしゃぶするという意味らしい。
 別に変な薬を脳に直接注射するわけではなく)と、
 湯が冷めちまうな」

「うむ、
 それではどーする?」
「やはり煮立ててからシャブする(何か言ってることがソレっぽいな)べきだろう」
「うむ、意見一致だな」


ってわけでトップバッターの友人が、
まさに地獄の釜茹でのごとく(湯が濁ってっからそー見えるマジで)煮立った鍋の中に、
ステーキ肉を投入
する。


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一気に湯が冷めた。
煮立ててはいたが予想以上の冷め方。
「ぬう、
 不覚」


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それで箸を使って肉を泳がせるのだが、
ステーキ肉の形状から言って平面的にしか泳がすことが出来ない。
横にしたりすると湯から出てしまう。
しかも、
焼いていない牛肉というのは、
恐ろしく白い。

皆がそれを見て、
ゆっくりとお互いの顔をうかがい、
「何て言うのかなあ……」
「ん?」
風呂につかってるみたいだよね?」
「……文学的表現だな」
「ああ、
 ブンガクだ」
「うむ。
 確かに……な。
 しかしまあ牛肉とは言えん色をしておるなあ」
「何て言うのか、
 この色といい、
 シチュエーションといい……」


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「……いやらしいよな」



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「そうそう、
 何か、
 いやらしいっつーか、
 なまめかしいよね」
「なまめかしいかあ。
 良い表現だなあ」
「うむうむ、
 ナマめかしいなあ、
 これは」
裸の人間みたいなところが、
 ちょっとあるよね」
人肉ゆでたら、
 こんな感じ
だろうな」
「人肉かあ。
 やっぱ、
 どこが一番、
 うまいんだろう
なあ」
尻だよ。
 尻

「尻かあ。
 ……なまめかしいなあ」
そして怪しい笑い声を皆で輪唱。
という感じで、怪しい夜は更けていくのであった。

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良く考えてみると、
とんでもない会話してますが、
まあ大体そうですよね。こういう集まりって。
でもやっぱ、
こーいう禁断の味覚(違う)っつーのには惹かれるモノがあるじゃあーりませんか?
無い?

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食人度(やめろって):



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