さらに指摘されているのが、小保方さんらが公開すべきデータを正しく公開していないという問題だ。
『ネイチャー』に小保方論文のような分子生物学系の論文を投稿する際は、「実験に使った遺伝子の情報を公開の遺伝子情報データベースに登録する」という規定があるという。
だが今回の小保方論文は、正確なデータの公開が行われないまま掲載されてしまった。これでは研究成果が真実なのか、第三者が検証できないと、前出のケンブリッジ大学・シルヴァ博士は厳しく批判する。
「データの届け出を行っていないことは最大の問題です。そのデータがあってこそ、世界中の科学者が論文の主張を確認できるのです。この手違いひとつをとっても、論文は発表されるべきではなかったと思います」
そして人々の疑念を一層深めているのが、発表から1ヵ月近く経ったいまもなお、世界中のどの研究所でも再現実験(追試)が成功していないことだ。
前出のカリフォルニア大学デーヴィス校・ノフラー准教授も、STAP細胞の発見のニュースを聞いて期待に胸を躍らせ、自ら追試を試みたという。だが、結果は失敗。ならばと自らのHPで世界の研究者に追試の成果を書き込んでくれるよう呼びかけたが、集まったのは期待に反して、「失敗」の報告ばかりだった。
誠実な説明が必要
「もしSTAPが作製されたことが確かなら—私はそう願っていますが—ほとんどの研究室では再現できないような、非常に難しいテクニックだということでしょう。私は小保方さんたちが、STAP細胞を作る『手順』に特化した、新しい論文を出すことを期待します」(ノフラー准教授)
2月20日現在、こうした疑問に対して、小保方さんや理研サイドからは何の発表もなされていない。それがさらなる疑心暗鬼を呼び、「まさか本当に致命的なミスか、データの捏造があったのか—」などと不信感が広がる原因となっている。
一躍、日本国民の希望の星と目された小保方さん、そしてSTAP細胞はどうなってしまうのか。
iPS細胞を使った再生医療研究を進める横浜市立大学大学院医学研究科の武部貴則准教授はこう話す。
「まだ追試で再現性が取られていないのは仕方がないと思います。『ネイチャー』に載る論文は本来、発見に至るストーリーを中心に語るもの。具体的な実験方法の詳細は今後、公表されていくのでしょう。『細胞に刺激を与えるだけ』と言っても、培養液の温度など細かい条件がある。培養に職人芸が求められる場合もあります」
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