ロシア、クリミアを支配下に

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  • ALEXANDER KOLYANDR AND MARGARET COKER IN KIEV, LUKAS I. ALPERT IN MOSCOW AND ADAM ENTOUS
[image] Sean Gallup/Getty Images

クリミア自治共和国の首都シンフェロポリの政府ビルを警備する所属不明の兵士と親ロシア武装勢力

 【ワシントン】米オバマ政権の高官は2日、ロシアは6000人以上の空・海軍兵力を送り込んでウクライナのクリミア半島を支配下に置き、半島の占領に向け準備しているようだと述べた。

 同高官は「ロシア軍は大量の資材を持った空・海軍の約6000人の部隊でクリミア半島を完全な支配下に置いた」とし、「クリミアで占領態勢に入り、増強部隊を空路投入しているのは明らかだ」と語った。

 米国政府当局者はロシア軍の展開を非難し、ロシアはウクライナの軍事介入には政治的、経済的代償を払うことになると警告している。ケリー国務長官はウクライナの新政権への支援をアピールするために、4日にキエフを訪れる予定だ。

Ukraine Prime Minister Arseniy Yatsenyuk urged Russian President Vladimir Putin to pull his troops out of Crimea saying, "we are on the brink of disaster." Photo: Getty Images

 ウクライナのヤツェニュク首相は2日ロシア軍がクリミアを支配下に置く前、同国は「大惨事のふちにいる」と述べ、プーチン・ロシア大統領が両国を戦争に追いやろうとしていると非難した。

 同首相はウクライナ議会での記者会見でロシアをけん制し、クリミア半島からロシア軍を撤退させるよう働きかけることを国際社会に求めた。同半島の住民の過半はロシア系だが、ウクライナのパスポートを持っている。

 首相は「プーチン大統領が友好的で隣り合った二つの国を戦争させる大統領になりたいなら、彼はこの目標に(ほぼ)到達した」とし、「われわれは大惨事のふちにいる。ロシアがウクライナに侵攻する理由はない」と語った。

 ロシアの黒海艦隊の基地があるクリミア半島では数日前から、ロシア兵と見られる重武装した部隊が実質的に支配している。ロシア議会は1日、プーチン大統領がウクライナに軍隊を派遣する権限を認めており、西側ではロシア軍がさらにウクライナへの介入の度合いを強める可能性があるとの恐れが強まっている。

 プーチン大統領は、「ウクライナ領土内のロシア人の生命と健康が現実的な脅威にさらされている」として、ロシアにはウクライナに介入する権利があると主張している。

 大統領は1日夜、オバマ米大統領と電話会談をし、「ウクライナ東部とクリミア半島でさらに暴力が拡大すれば、ロシアにはその国益およびそこに住んでいるロシア語を話す人々を守る権利がある」と警告した。

クリミアの親ロシア勢力とキエフの反ロシア集会

 ロシアはロシア系住民がウクライナで暴力を受けていると主張しているものの、こうした事実はほとんど確認できない。

 北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は、ウクライナでのロシアの軍事行動は「欧州の平和と安全保障」に脅威を与えるとし、「ロシアは軍事活動と脅威を止めなければならない」と強調した。

 ヤツェニュク首相は、ウクライナの新指導部に会うためにキエフを訪れるヘイグ英外相と2日中に会談すると見られる。同外相は紛争を平和裏に終わらせるための仲介をしようとしている。ウクライナの外相は、1日の時点ではラブロフ・ロシア外相とは直接連絡を取っていないと述べた。

 ウクライナの国家安全保障・国防会議は1日、同国軍に対して臨戦態勢に入るよう命じるとともに、資金と技術資源をこの目的に回すよう命じた。

 ウクライナの指導部は2日、完全な臨戦態勢を軍に命じ、ロシアの侵攻に対する対策をまとめるための新しい緊急司令委員会の設置を発表した。これらの措置には予備役招集に向けた準備も含まれている。国防省によると、予備役には新たな訓練が施されるが、直ちに予備役を招集する計画はまだないという。

 ただ、西側の外交筋は、ウクライナ軍がクリミア半島の重要施設などを支配しているロシア軍と対等に渡り合えるか疑問だとしている。ウクライナの指導部によると、ロシアは同地での緊張が先週高まって以降、クリミアに既に6000人の兵士を追加投入している。両国は、ロシアが同地に基地を置く軍事条約を結んでいるが、ウクライナ側は、ロシアは兵士の追加派遣を通告せず、また事前通告なしに部隊の移動を行っており、条約に違反したとしている。ロシア政府は条約を順守していると述べている。

関連インタラクティブ

 ウクライナのアバコフ内相は2日早い時点で、「ロシアの密偵や軍将校がクリミア半島のウクライナ内務省の兵士らに対して、ロシア市民権とロシアのパスポートの提供を申し出ている」とフェイスブックに書いた。

 同内相は、クリミア半島にはロシア系住民が多いが、ウクライナ軍はロシア系住民を脅やかしてはいないと述べるとともに、ロシアは同地を急激に軍事化していると批判した。

 モスクワでは同市中心部の国防省本部の前に数百人が集まり、ロシアの軍事行動に抗議した。モスクワに住むエンジニアのIlya Mavlyutovさん(28)は「テレビで言っていることと実際とを比べたい。今は21世紀で、私はいかなる軍事行動にも反対だ」と話した。これらの人々は時々「戦争にノーを」と叫んでいたが、治安部隊は数十人の人々を拘束し車に押し込んだ。

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