憲法審査会傍聴備忘録
2月26日、参院憲法審査会での自民党を代表した赤池幹事の冒頭発言(速記録未定稿)
- 2014年3月 1日 13:45
- 参議院
○赤池誠章君 私は、自由民主党の赤池誠章です。自民党は、昭和三十年、一九五五年、立党以来、自主憲法制定が党是であります。当時の立党文書の一つである「党の使命」には次のように書かれております。国内の現状を見るに、祖国愛と自主独立の精神は失われ、独立体制はいまだ十分整わず、ここに至った一端の原因は、敗戦の初期の占領政策の過誤にあると。初期の占領政策の方向が主として我が国の弱体化に置かれていたため、現行憲法の自主的改正を始めとする独立体制の整備を強力に実行し、もって国民の負託に応えんものである。
自民党が立党して今年で五十九年となります。
来年は戦後七十年、自民党立党六十年を迎えるわけであります。改めて自主憲法制定実現に向けて、私はその意義、理由を以下三点あると考えております。
第一は、現行憲法には制定過程に問題があり、法律としての大前提である正統性がないと感じております。
御承知のとおり、マッカーサーが率いる占領軍、GHQから、占領中に言論統制された中で押し付けられたものです。現行憲法は、日本国民の自由意思で、公正で民主的な手続で起草されたものではありません。これは、占領軍が占領地の法律を尊重しなければいけない国際法の違反ともあり、何よりも、現行憲法が自らの前文にある「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」に反しています。憲法自体が憲法違反の存在というものであります。
正当に選挙もされない占領軍の最高司令官マッカーサーの指示によって短期間で英語で草案が作られ、日本国民に知らされないまま日本国政府に渡され、政府はそれを翻訳して憲法草案が作られ、衆議院、貴族院と議論されて成立したものであります。その制定過程を知る以上、国民代表である私たち国会議員がそれを是とすることはあり得ないと私は考えております。これを現行のまま放置することは恥であり、後世から叱責を受けかねないと感じております。
第二は、制定過程、その後、主権が回復して国民が十分承認をされているという反論のある中で、私は憲法の内容自体にも問題があると感じております。
現行憲法の基礎となっておりますのは、考え方は三つあると言われております。
第一は、制定過程で分かるように、日本人には自分の国を守る力を持たさず、二度と立ち上がらせないようにするという、弱体化という占領政策、米国の属国化、保護国化という考え方があります。
これが戦争放棄の憲法九条となっております。その条項が、激動する国際情勢の現在、国家安全保障の足かせとなっております。
第二は、人工国家、米国流の社会契約説であります。
敗戦後の日本国民が契約によって新しい国家をつくったフィクションに基づいています。だから、日本の歴史や伝統、文化は全く反映されておりません。
第三は、旧ソ連の、一九三六年、スターリン憲法に影響されており、共産主義が紛れ込んでおります。第二十四条の家族生活における個人の尊重と両性の平等、二十七条の勤労の権利及び義務などはその条項に当たると言われております。社会主義者や共産主義者が護憲になる理由がここにあるわけであります。
第三の自主憲法制定理由は、国民の意識、民意であります。
自民党は、一昨年、第二次憲法草案全文を発表して、十二月に総選挙を戦い、勝利して政権を奪還しました。さらに、昨年夏の参議院通常選挙において第一党となりました。
自主憲法制定は国民の民意となりつつあります。これは、国内外の激動する情勢が国民意識を変化させてきたからだと思っております。国際社会における米国の相対的地位の低下、北朝鮮の日本人拉致事件、チャイナの尖閣諸島への侵略行為、ロシアの北方領土や韓国の竹島への不法占拠の強化、国内においては東日本大震災もありました。日本国民は、現行憲法では自分自身や自分の家族、地域や国家を守ることができないのではないかと気付いています。
以上、現行憲法の正統性のない制定過程、日本の歴史から断絶した憲法内容、民意の三点から、自主憲法制定は今まさに国政の重要課題となっております。
今後は、憲法改正国民投票のいわゆる十八歳投票年齢などの三つの宿題を解決させ、全国各地で国民の声を聴く国民運動を展開しつつ、立憲主義
に基づき、改正原案を更に詰め、来るべく国政選挙において三分の二以上の国会議員を結集させるべく、私自身もその一助になればと考えておりま
す。
世界有数の歴史と伝統を誇る我が国を守り、発展させ、子孫につないでいくために、立憲主義に基づいた自主憲法を制定する決意の表明とさせていただきました。
御清聴ありがとうございました。
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2014年2月26日、参議院憲法審査会
- 2014年2月26日 15:05
- 参議院
今通常国会初めての参院憲法審査会。曜日は水曜で同じだが、午前10時から開かれた。今日は2.26事件の日だと気が付いた。市民連絡会は13名の仲間と共に傍聴。先頃とはうってかわった暖かめの日差しで、皆さん、早めに結集した。初めての傍聴という仲間もいた。傍聴券が届くのを待っている間に、議面内で「憲法審査会傍聴希望の方へ」という紙を持って立っていた憲法審査会事務局の若い人に声をかけてあれこれ尋ねた。参議院憲法審査会は議員の紹介なしに市民が傍聴できるようにしており、その案内だという。衆議院や、参院でも他の委員会は議員の紹介がないと傍聴できないが、「憲法」であるがゆえのサービスだそうだ。スムーズに傍聴券を入手するには前日の内に名前などを事務局に電話してくれると都合がよいといっていた。
傍聴を終えて、皆さんの感想は「今日は結構おもしろかった」だ。というのは自民党の赤池誠章幹事が、問題発言を連発して、これに民主党の小西洋之幹事や白眞燻
幹事が応戦、社民党の福島瑞穂委員も小西幹事の援護にでるなどの「騒ぎ」があったからだ。傍聴席の私たちもエアー拍手(無音)や挙手での合図で応援した。私たちは議場への到着が遅れて聞き漏らしたが、赤池寛二は冒頭に「現行憲法は憲法違反だ」とのたまわったようだ。白眞燻氏が「どういう意味か」と問いただしていた。問題になったのは小西幹事が「安倍首相が言っている憲法の条文を変えないで解釈の変更をするというのは、ナチスの手口のようなものだ」と言ったことにたいして、赤池幹事が「首相をヒットラーと同一視するのはけしからん。取り消せ」とさわぎ、小西幹事が「ナチスの手口といったまでだ。取り消す必要はない」と応戦し、しばしやり取りがあったたことだ。
以下に産経と共同の記事を貼り付ける。(高田 健)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140226/stt14022613120001-n1.htm
解釈改憲、野党に賛否 みんな維新は首相に同調 参院審査会の議論再開
2014.2.26 13:11
参院は26日、昨年7月の参院選を挟み中断していた憲法審査会を再開、与野党の議員が憲法の役割や課題をめぐり意見交換した。安倍晋三首相が意欲を示す憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に関し、みんなの党と日本維新の会は賛成を表明、首相に同調した。民主、共産両党、初参加の結いの党、社民党は反対し、賛否が分かれた。
みんなの松田公太氏は、「国連憲章で国家の権利として(行使が)認められている。政治が判断すべき」と憲法解釈の変更を支持。維新の清水貴之氏も「国際社会の変化に合わせて(憲法解釈を)見直すべきだ」と述べた。
民主党の小西洋之氏は「憲法9条に解釈変更の余地はない。憲法規範の存立に関わる問題で、絶対に許してはいけない」と明言。これに対し自民党の丸川珠代氏は「憲法解釈を変えることが憲法の規範性を無視しているとは思わない」と強調した。公明党の西田実仁氏は環境権などを加える「加憲」を訴え、解釈変更の是非には触れなかった。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022601001517.html
解釈改憲、野党で賛否分かれる 集団的自衛権問題で意見交換
2014年2月26日 12時32分
参院は26日、昨年7月の参院選を挟み中断していた憲法審査会を再開し、与野党の議員が憲法の役割や課題をめぐり意見交換した。安倍晋三首相が意欲を示す憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に関し、みんなの党と日本維新の会は賛成を表明した。一方、民主、共産両党、初めて参加した結いの党と、社民党は反対し、野党で賛否が分かれた。
自民党の赤池誠章氏は「自主憲法の制定は民意となりつつある」と改憲を主張。公明党の西田実仁氏は環境権などを加える「加憲が最も現実的だ」と訴えた。
(共同)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014022600694
憲法解釈変更、4野党が反対=民主「ナチスの手口」?参院審査会
参院憲法審査会は26日、憲法の役割などをテーマに討議を行った。安倍晋三首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈の変更について、民主、共産、結い、社民の野党4党は反対を表明。自民、みんな、日本維新の会の3党が理解を示した。公明党は、憲法解釈見直しについて明確な態度表明をしなかった。
安倍首相批判は「誤解」=公明・漆原氏に反論?菅官房長官
討議で民主党の小西博之氏は「ワイマール憲法があっても人権弾圧を繰り広げたナチスの手口だ」などと首相の姿勢を厳しく批判。共産党の仁比聡平氏は「国会の多数獲得で解釈を自由勝手にできるというなら、憲法の最高規範性を失わせる」と指摘した。結いの党の川田龍平氏と社民党の福島瑞穂氏は「行政が憲法に従う立憲主義の否定」と訴えた。
これに対し、自民党の丸川珠代氏は「安倍内閣が憲法の規範を無視してるとの批判は当たらない」と反論し、みんなの松田公太氏は「(安全保障を)いつまでも同盟国に頼るわけにはいかない。行使を認めない方がおかしい」と表明。維新の清水貴之氏は、憲法解釈の変更に賛同した上で「法律によって行使の要件を明確にすべきだ」との見解を示した。
一方、公明党の西田実仁氏は「加憲」の必要性などを唱えたが、集団的自衛権の是非については言及を避けた。(2014/02/26-16:31)
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衆院憲法審査会幹事懇が開かれた
- 2014年2月21日 10:14
- 衆議院
民主党武正公一議員のブログ
http://ameblo.jp/takemasa-koichi/
2014年02月20日(木)
衆議院憲法審査会幹事懇談会
テーマ:政治
昼は、花斉会昼食会に出席。
午後、今国会初の衆議院憲法審査会幹事懇が開催。
次回、国民投票法案の改正案について協議。
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国民投票法改正 国会で論点に 1月6日 4時50分
- 2014年1月 6日 11:24
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140106/k10014275391000.html
国民投票法改正 国会で論点に 1月6日 4時50分
憲法改正の手続きを定めた国民投票法を巡って、自民・公明両党が、投票年齢を法律の施行から4年後に18歳以上に引き下げるとした改正案をまとめ、民主党も対案を準備するなど、安倍総理大臣が憲法改正に向けた意欲を示すなか、今月召集される通常国会で論点の1つになりそうです。
憲法改正の是非を問う国民投票の手続きを定めた国民投票法を巡って、自民・公明両党は先月、投票年齢を法律の施行から4年後に18歳以上に引き下げるなどとした改正案をまとめており、できるだけ多くの政党と共同で、今月召集される通常国会に提出したい考えです。
これに対し民主党は、投票年齢を法律の施行と同時に18歳以上とすることや、国民投票の対象に、統治機構の在り方などの重要課題も加えるなどとした改正案の概要をまとめ、対案として国会に提出したいとしています。
また日本維新の会は、「憲法改正を進めるために、国民投票法の改正を急ぐべきだ」として、改正案をすでに国会に提出しており、自民・公明両党との協議に応じることも検討する構えです。
憲法改正を巡って、安倍総理大臣は年頭の「所感」で、「国民的な議論をさらに深めていくべきだ」として意欲を示しており、国民投票法の改正は、通常国会で論点の1つになりそうです。
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「改憲は党是だ」 国民投票法改正案、維新が与党と共同提出へ 独自案取り下げ
- 2013年12月20日 10:39
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131220/stt13122010090000-n1.htm
「改憲は党是だ」 国民投票法改正案、維新が与党と共同提出へ 独自案取り下げ
2013.12.20 10:08
日本維新の会が、自民、公明両党とともに憲法改正のルールを定めた国民投票法改正案を来年の通常国会に共同提出する方針であることが19日、分かった。来年開かれる党憲法調査会を経て正式決定する。これに伴い、衆院に提出済みの独自の改正案は取り下げる。憲法政策に関わる党幹部は産経新聞の取材に「「改憲は維新の党是だ。大目標のために与党と歩調を合わせたい」と明言した。
3党の改正案は、自公が6日に合意した与党案が軸となる見込み。与党案は国民投票年齢を当面20歳以上とし、法施行4年後に自動的に18歳以上に引き下げる内容で、自民党幹部は維新や民主党などの野党にも共同提出を呼びかける考えを示していた。
維新は改憲論議を活発化させようと、5月に国民投票年齢を民法の成年年齢などよりも先行して18歳以上に引き下げることを柱とした改正案を提出した。
自民党内では一時、維新案をたたき台に改正案を取りまとめる計画も検討されたが、「与党の責任として自公案をベースにするべきだ」との反対意見が表面化し、維新案はその後、継続審議扱いとなっていた。
維新はこれまで党の独自改正案の成立を目指す一方、与党と足並みをそろえながら憲法改正の機運を高める方向性も模索していた。安倍晋三首相と維新の石原慎太郎共同代表、平沼赳夫代表代行は18日、官邸で昼食を共にし、出席者によると、石原氏は首相に改憲で協力する考えを伝えたという。
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進まぬ「成人年齢」議論2013.12.16 08:37(産経)
- 2013年12月16日 11:44
目下、改憲問題は明文改憲から、解釈改憲・立法改憲に移った感がありますが。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131216/plc13121608390003-n1.htm
【編集日誌】進まぬ「成人年齢」議論2013.12.16 08:37
成人年齢を20歳から18歳に引き下げるかどうか。18歳以上に投票権を認めた国民投票法が平成19年に成立してから6年以上過ぎましたが、議論は遅々として進みません。内閣府が発表した世論調査でも「18歳成人」に対する賛否は5年前とほとんど変わらず、議論の内容を知らない人が77.5%に上りました。
世界的に「18歳成人」を採用している国は多く、少子高齢化が進む日本にとって「成人」が増えるのは悪いことではありません。とはいえ、関係法令を変えるだけで「大人の自覚」が生まれるとも思えません。
自民、公明両党は国民投票法について、18歳以上への投票年齢引き下げを4年間猶予する改正案を検討中です。社会構造を大きく変えるテーマだけに拙速は禁物ですが、その4年間で国民的な議論を深め、なんとか結論を得てほしいものです。(編集長 近藤真史)
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11月27日衆議院憲法審査会報告
- 2013年11月28日 17:42
11月27日衆議院憲法審査会報告
? 前日の幹事会で開催が決まったということで、市民側は傍聴の体制がとれなかった。市民連からは3人だけが傍聴した。こんな運営のしかたは国民主権にもとる。
開会中の185臨時国会で初めて11月27日午前10時から衆議院憲法審査会が開かれた。議題は衆議院が9月12日から22日まで欧州に派遣した調査団の報告が中心だった。
はじめに訪問団団長の保利耕輔会長(自民)がドイツ、チェコ、イタリアの憲法と国民投票制度についての調査経過を報告した。つづいて副団長の武正幹事(民主)が各国の詳しい報告をした。報告では各国とも憲法改正要件は法律より厳しく、更に厳しくしようとする意見はあっても緩和しようという国はなかったこと。各国の憲法裁判所のあり方や、ナチスがポピュリズムと国民投票を乱用した経験のからドイツでは国民投票を採用しておらず、現在もワイマール憲法下の歴史の検証がつづいていることなどを報告した。
調査に参加した各党議員からも発言があった。各国の憲法がそれぞれの国の歴史を反映していることや憲法が国民から愛されているなどは共通していた。しかし維新やみんなの委員からは調査報告より一刻も早く改憲手続き法を修正・始動させるべきだという発言に力が入る始末だった。
自由討議では、長妻委員(民主)から村山談話を深めようという意見や、笠井委員(共産)から現憲法は国民の支持に支えられていると発言があった。しかし維新、みんな、自民の各党委員から、早く憲法改正手続き法を修正・始動させて憲法改正論議をはじめようという意見がつぎつぎ続き、今後も市民は監視の手をゆるめられない。
審査会の委員の入れ替えもあり、民主党は枝野議員や長島昭久、細野豪志などの委員にかわった。また、女性の委員は何と50人のなかで維新の三木圭恵委員だけだ。しかし自民などから西川京子議員のような超右翼ばかり出てこられも困るのだが。(土井登美江)
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自民 国民投票改正案提出を断念の方針
- 2013年11月27日 10:19
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131127/k10013364881000.html
自民 国民投票改正案提出を断念の方針
11月27日 4時34分
自民党は憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案について、公明党との間で投票年齢を巡る考え方に隔たりがあり、合意の見通しが立たないとして、今の国会への提出を断念する方針を固めました。
憲法改正の手続きを定めた国民投票法を巡って自民・公明両党は、今の国会に投票年齢を18歳以上とする改正案を提出する方向で調整していましたが、自民党の憲法改正推進本部は、党内の異論を踏まえて「成人年齢などが引き下げられるまでは投票年齢を20歳以上とする」とした改正案をまとめました。
これに対し公明党は「将来を担う若い人たちにも、できるだけ国民投票に参加してもらうため、投票年齢は18歳以上に引き下げるべきだ」などと主張して、両党の考え方の隔たりは埋まらず、合意の見通しが立たない状況が続いていました。
このため自民党は、今の国会の会期末
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<国民投票法改正案>臨時国会提出は困難に
- 2013年11月10日 17:53
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131106-00000120-mai-pol
<国民投票法改正案>臨時国会提出は困難に
毎日新聞 11月6日(水)22時50分配信
憲法改正の手続きを確定させる国民投票法改正案は6日、今臨時国会中の提出が困難な情勢となった。「18歳以上」と規定されている国民投票の投票年齢について、自民党が当面「20歳以上」とする方針に転換したことに、公明党が強く反発しているためで、安倍晋三首相が目指す改憲への環境整備が遠のきそうだ。【高本耕太、飼手勇介】
◇「20歳以上」に公明反発
「投票年齢の引き下げはすでに決めていること。それを元に戻すような話は納得できない」。6日朝、東京都内で開かれた自民、公明両党の幹部会議で、公明党の井上義久幹事長は、自民党の方針転換を猛然と批判した。
国民投票法は投票年齢を18歳としているが、選挙権年齢や成人年齢の20歳と異なるため、付則で民法や公選法を見直すまでは「20歳以上」とすると定めている。これを踏まえ、今年9月、自民、公明両党の実務者が民法などの改正に先行し、国民投票の投票年齢を「18歳以上」で確定させる方針で一致していた。
このため、自民党の方針転換は公明党にとって「約束をほごにされた」(幹部)と映り、石井啓一政調会長は記者会見で「自民党の考えが理解できない」と批判。もともと公明党内では、改正案成立で改憲が近づくことへの警戒感もあり、党幹部は「(法案提出は)断念だ」と法案の国会提出を見送るよう求めた。
自民党の憲法改正推進本部の当初案は「18歳以上」だった。自民党案が「20歳以上」となったのは党内保守派巻き返しのためだ。首相に近い保守派が改憲の環境整備の足を引っ張る皮肉な状況になっている。自民党の石破茂幹事長は6日、「多くの党のご理解を得ていかなければならない。作業はこれからだ」と公明などとの調整を慎重に進める考えを示した。
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神戸新聞社説 国民投票法修正/ちゃぶ台返しを許すのか
- 2013年11月 9日 11:43
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201311/0006483492.shtml
神戸新聞社説??? 国民投票法修正/ちゃぶ台返しを許すのか
憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案をめぐり、巨大与党の危うさが表面化してきた。
自民党の憲法改正推進本部が、投票年齢を当面「20歳以上」に据え置く修正案を了承した。公明党と合意した「18歳以上」の転換である。
自民党が党内保守派の異論を抑えきれなかったためだ。公明党にしてみれば、安倍晋三首相の改憲への熱意に押されて協議を進めた面がある。「自民党はどうなっているのか」と反発を強めるのは当然だろう。
投票年齢は国民投票の「有権者」を確定する制度の根幹である。2007年に成立した国民投票法の本則には18歳以上と明記されており、自民党も賛成した。修正案は積み重ねた議論を振り出しに戻すことになり、混乱は避けられない。
憲法改正の手続きはできるだけ幅広い合意の下で決める必要がある。公務員の政治活動の制限緩和▽国民投票の対象拡大など、年齢確定以外の「宿題」もある。今国会での提出は見送り、議論をし直すべきだ。
国民投票法は付則で、10年の法施行までに民法の成人年齢や公選法の選挙権年齢も合わせて18歳以上に引き下げるよう求めた。それが実現するまでは国民投票年齢も20歳以上に据え置くとした。
その後も民法や公選法の見直しは手付かずのままだ。安倍政権が改憲を目指すなら、付則が求める法的条件を整え、18歳以上による国民投票制度を完成させる努力が先だろう。
ところが、修正案は「民法の成人年齢と食い違う」などとして年齢引き下げに反発する保守派の主張が通った。党内調整を優先させて法整備の努力を怠り、手っ取り早く改憲のレールを敷こうとしていると疑われても仕方がない。
「18歳は精神的に未成熟で、正しい判断は難しい」との慎重論もある。だが、先進国では18歳成人が主流だ。少子高齢化が進む日本では若い世代の意思を広くくみ上げ、政治に反映する重要性が増している。自立を促す教育の在り方を探るのも政治の役割ではないか。
気になるのは、この問題以外にも保守派の強硬姿勢で与党が調整に手間取る場面が目につくことだ。
過去の経緯や政党間の合意を無視した「ちゃぶ台返し」が続けば、巨大与党の意思決定に疑問符がつく。くれぐれも自戒すべきだ。
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