日朝赤十字:3日に遺骨返還協議…「政府間」再開が焦点
毎日新聞 2014年03月02日 21時12分(最終更新 03月03日 00時08分)
日本赤十字社は3日、北朝鮮の朝鮮赤十字会と中国・瀋陽で、終戦前後に北朝鮮で亡くなった日本人の遺骨返還問題について協議する。日朝双方の外務省担当課長が同席。2012年11月以来途絶えている政府間の公式協議再開につながるかどうかが焦点となる。
日本側は2日、外務省の小野啓一北東アジア課長や日本赤十字社の田坂治国際部長らが瀋陽入り。田坂氏は出発前、成田空港で記者団に「こちらの話がうまく進めば、いい影響を他にも与えるんじゃないか」と述べ、拉致問題など政府間協議の進展にも期待感を示した。北朝鮮側は、同国外務省の日本担当、劉成日(ユ・ソンイル)課長や朝鮮赤十字会の李虎林(リ・ホリム)事務総長らが出席する予定。
民主党の野田政権下で12年8月に開かれた前回の赤十字協議では、遺骨問題について政府に協力を要請することで合意。小野・劉両氏の課長級予備協議を経て同年11月に局長級協議が開催されたが、同年12月の北朝鮮のミサイル問題で中断した経緯がある。
前回の局長級協議で、北朝鮮は「解決済み」としている拉致問題を議題として受け入れる軟化姿勢を示し、日本側には08年に福田政権下で合意された拉致再調査実施への期待感も生まれていた。安倍政権は拉致問題の解決を急いでおり、今年1月にベトナムで非公式に接触するなど協議再開を模索している。
今回の協議は北朝鮮側から呼びかけた。北朝鮮代表団は1日に瀋陽に入り5日までの滞在を予定。非公式に政府間の課長級協議が開かれる可能性もある。日本政府関係者は「両国の課長が同じ場にいるのだから、遺骨問題だけを話すということにはならないだろう」と語り、北朝鮮側の対応を注視する考えを示した。【瀋陽・吉永康朗、大貫智子】