はだしのゲン:中沢さんの詩反核の歌に 加藤登紀子さんら

毎日新聞 2014年03月02日 13時14分(最終更新 03月02日 13時18分)

「はだしのゲン」を加藤登紀子さん(左)に贈る中沢ミサヨさん=東京都千代田区で昨年10月、西本勝撮影
「はだしのゲン」を加藤登紀子さん(左)に贈る中沢ミサヨさん=東京都千代田区で昨年10月、西本勝撮影

 ミサヨさんは昨年10月、東京で登紀子さんに初めて会い、「ゲン」全10巻を贈った。12月にも3人が顔を合わせ、夫のいない寂しさをにじませるミサヨさんを、登紀子さんが「人の命は短くても、残したい思いが強ければ残っていく。歌が思いをつないでくれる」と励ました。一周忌に当たる12月19日には、今夏発売予定のCDの試聴版が広島市のミサヨさん宅に届いた。それを聴きながらミサヨさんは「ゲンが連れてきた人たちに助けてもらっているよ」と遺影の夫に話しかけた。

 登紀子さんは生前の中沢さんと面識はなかったが、広島と長崎で二度被爆した故山口彊さんの記録映画「二重被爆〜語り部山口彊の遺言」で歌と語りを担当した。詩について「ゲンのような激しいイメージはないが、そこは私の歌で表現したい。『優しさ』も怒りなのよ」と受けとめた。

 ミサヨさんは「広島から世界に平和を届けたいという夫の願いを、若い作曲家の感性と登紀子さんの声で、多くの人に届けてほしい」と期待している。【松本博子】

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