学研は4月3日から全国の主要書店で、小型キーボード付き書籍『歌うキーボード ポケット・ミク』を発売します。学研『大人の科学マガジン』の特別編として企画されたもので、価格は4980円(税別)。

付属する小型キーボードの特徴は、ヤマハが開発したeVocaloid対応音源LSIであるNSX-1を搭載する点。eVocaloidとは、平たく言えば1チップのLSIで処理できる程度に規模を縮小したボーカロイド音源のこと。このキーボードには音素データとして初音ミクの声も入っているため、リアルタイムにミクさんの声で演奏ができるというわけです。

今回は、特別にこのキーボードが持ち込まれた神田神保町の明治大学米沢嘉博記念図書館に実物を見に行くとともに、開発に関わったスタッフに気になる仕様を聞いてきました。



お話を伺ったのは、回路設計担当の宇田道信氏(写真左)と総合プロデュース担当のPolymoog氏(右)。そもそも今回の臨時展示告知は、Polymoog氏の「2月28日にポケット・ミクを持っていきます」というツイートからでした。

残念ながら動画撮影は不許可だったのですが、公式の操作解説動画が公開されていますので、まずはそちらをご覧ください。「どんな演奏ができるのか」や、なんといっても気になる「どれだけミクさん声なのか?」も一通りわかると思います。




基本的な演奏方法は動画でも紹介された通り、カーボン素材で印刷されたキーボードに付属タッチペンの先端で触れるというもの。電源は単四乾電池×3本(別売り)、またはマイクロUSB端子からの給電です。



気になる発声ですが、電源投入時はキーボードの音階に合わせた「ドレミファソラシ......」と歌う設定。ここで上部の1から5のボタンを押すと、あ~おでのハミングになります。
さらに、あらかじめプリセットされた歌詞で歌うプリセットモードもあり、「ちょうちょ」や「さくらさくら」「蛍の光」などを自由な音階で歌わせることもできます。

そしてポイントになるのが、キーボードの上に開いた隙間。これのエリアはリボンと呼ばれており、ここにペンを触れて左右に動かすと、連続的に音域を変化させることができます。いわゆるピッチベンドが滑らかにできるのです。

この機能に関してPolymoog氏に聞いたところ、「ピッチベンドの奏法はPC版で綺麗に歌わせる大きなポイントの一つですが、PCのエディタでは入力難易度が高い技法でもあります。こちらはペン先の移動だけで細かな変化が付けられますので、見方によってはPC版よりも優れている点かもしれません」と紹介してくれました。



また、実物を見て、キーボード本体に描かれている(と思われた)ミクさんの絵は、ステッカーだったことも判明しました。はがすとこのように無地になります。なお購入時には、表紙イラスト版とキー操作ガイドのステッカー2種が付属します。




また、電源供給用以外にも使えそうな雰囲気を醸し出しているマイクロUSB端子については、公式紹介ページで「ウェブ上の専用アプリを使って、自分が入力した歌詞を演奏することもできます」との記載がありますが、このあたりについてもお話を聞いたところ、実はまだまだ隠れた機能があるとの話を聞けました。

「発売までにじょじょに公開していきますが、直近では3月7日に新情報が出る予定です。これから出てくる情報はEngadget読者にはかなり楽しい話だと思いますので、楽しみにしていてください」とのこと。




実物を触ってみて、これが雑誌付録とはいえ5000円というのは、かなり驚きのコストパフォーマンスだと感じました。実物を見る前もかなり面白そうなデバイスだと思いましたが、実物に触って見ると、いろいろ隠れていそうな今後の「遊び」も含めて、想像以上に楽しめそうな気配です。