正念場の汚染水対策=海に流出、経路不明―福島第1〔東日本大震災3年〕
2014.03.02 15:33 記者 : 時事通信社 カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ : 時事通信社
事故発生から3年を迎える東京電力福島第1原発。原子炉内で溶け落ちた核燃料は今も熱を発し、冷却のため注入された水は放射能汚染水となり地下水に混じって海に流出している。タンクに保管中の汚染水は膨大な量に達しており、対策は正念場を迎えている。
東電が海への流出を公表したのは昨年7月。護岸付近の井戸水からは、その後も高濃度の放射性物質が検出されている。原子炉建屋やタービン建屋の地下にたまった高濃度汚染水がどこから漏れ、どう広がって地下水を汚したのか、東電は把握できていない。
経路として疑われているのは、2号機や3号機のタービン建屋につながるトレンチ(ケーブルなどの地下管路)と1号機タービン建屋など。トレンチでは中の汚染水を抜き取るため、内側を凍らせて建屋との水の行き来を遮断する作業が始まった。だが建屋から直接漏れていれば、場所の特定や対策は難しくなる。
増え続ける汚染水はタンクで保管されるが、漏えいも相次ぐ。増加対策についてはメニューがおおむね出そろった。
第1原発では1日400トンの地下水が原子炉建屋に流入し、汚染水を増やしている。対策として、政府と東電は土壌を凍らせた壁で1〜4号機を囲む案を採用。敷地表面はアスファルトなどで覆い、雨水から地下水になる分を減らす。タンクも漏えいが相次いだ簡易型から、より危険性が少ない溶接型に切り替える。
汚染水からトリチウム以外の放射性物質を大幅に減らす装置「ALPS(アルプス)」の増設も決定。1日最大750トンの処理能力を大幅に増やし、タンクで保管する約34万トンと、毎日発生する汚染水を2015年3月までに処理する計画だ。
ただ、凍土壁で地下水の流入を防ぐことができても、建屋内部より周囲の水位が低くなれば、汚染水が流出する危険が生じる。アルプスもトラブルが相次ぎ、安定して稼働できるか不安がある上、トリチウムは除去できず処理後の水が問題になる。タンクの切り替えや雨水対策も時間がかかりそうだ。
抜本的に解決するには、燃料が溶けた1〜3号機格納容器の破損箇所を特定し、補修して冷却水漏れを防ぐ必要がある。だが、極めて高い放射線量下での作業は難しく、見通しは立たない。
[時事通信社]