実は、あまりにもデモを見るとすごいので、いろんな山師たちが群がってそこで一旗儲けようということもありまして、余計ブラウンガスの業界といいますか、フィールドを怪しくしてしまって、そんなものには手を出すなということもあるのです。そういう中の一つに、先ほど理論が分からないけれど、核変換がどうもこのブラウンガスで現象的には起きるらしいと。これは元MITのミルズ先生が自分のホームページで世界中の学者のディスカッションを載せていますが、常温核融合もその中の一種になり得るということで、常温核融合学会の中でもこのブラウンガスのペーパーが出ていると聞いております。ともかく常温核融合とか核変換なんていうと、ますます自分たちの身近とは遠くなってきて、なんか怪しくなってくる。
一例を言いますと、六ヶ所村で灰放射能の処理施設を2兆円もかけて造っているわけですけれども、これがもしブラウンガスで、溶融してしまうと放射能が減じるとか消えてしまうという実験が韓国の工業技術研究院ではなされているそうで、実際にその現象があると聞いています。これは日本に来ている王さんという先生から聞いたのですけれども、本当にそうかなあと、我々は追試をしてみないと大体こういうのは疑ってみるわけですが。そのような面白い現象がたくさん出ていまして、技術開発が最近すごく進んだためにまた脚光をあびるようになってきたと考えてください。
○萱嶋 |
まことに不思議なブラウンガスというお話でしたけれども、ご質問、ご意見等ございませんか。 |
○質問 |
今おっしゃった、つまり水を逆浸透膜で浄化してブラウンガスをつくると。エネルギーのもとは、ただの水ですか。例えば重水、軽水という水があるように、Hの原子量は1であって、酸素の方は16ではなくて17、18という類の水ですか。通常の水ですか。 |
○堀内 |
通常の水です。異性体はもちろん含んでいますから、16.000何ぼとか。 |
○質問 |
そうすると、今、奇しくもおっしゃったように、熱力学第2法則に反するわけですね。ポテンシャルエナジーとしては、例えば水素のエナジーの大きさしかないわけですね。 |
○堀内 |
水素のエナジーといっても、今、我々が測定しているのは分子状の水素のエネルギーです。発生期の水素のエネルギーというのは、あまりにも不安定で短時間なために、それだけを測定したという人はあまりいないでしょうし、あるいは測定器というのはないのです。 |
○質問 |
水を燃やしたら、水にこのブラウンガスをかけたらどうなるのでしょうか。つまり含水率の非常に高い生ゴミを燃やした場合ですね。 |
○堀内 |
実は、ブラウンガスだけを燃していても 280℃しか出ませんので、この中に水を少し入れる。そうしますとものすごい火炎が、例えば20cmぐらいの炎しかないブラウンガスに水を混ぜますと1m以上の火炎になって、本当に炎という感じです。ブラウンガス自身はあまり色がついていなくて、見えるか見えないかのブルーの感じで先がほんの少し赤くなっているだけですが、これが水を混ぜますとブァーッと燃えるんです。一つの例でいえば、大火の時に水を掛けるとかえって爆発しますね。水蒸気爆発というのと、もう1つは、水を4000℃ぐらいにしますと水素と酸素が30%ぐらい分かれる。つまり分離するのです。熱分解だけで水は水素と酸素……高温でなければだめですよ、4000℃とか、なかなか難しいわけですが、ブラウンガスがそれに到達しているので、ブラウンガス自身が水をまた加熱して一部ブラウンガスにして燃えますから、それでボンボン燃えるということが今言われています。 |
○質問 |
そうすると、生ゴミもちゃんと処理できるわけですね。 |
○堀内 |
はい。私はみんなとディスカッションしているのですけれども、生ゴミの方が楽かなあという話をしています。 |
○質問 |
貯蔵は可能でしょうか。 |
○堀内 |
私どもそれは大変興味あるところで、いろんな人に聞きまくっています。3気圧ぐらいで今みんな使っているけれども、これが10気圧まで上げても何でもなかったと。ところが韓国のある先生は、10気圧以上に上げるとこれがそのまま水になってしまう。つまり非常に不安定な状態なので、圧縮すると水になってしまうと言うのですが、10気圧に上げても大丈夫だったという人と両方いますので。
これは変な話ですが、旭電化の研究所長で電気分解の専門家で取締役だった方が定年になりまして、私がブラウンガスの話を2年ほど前にしましたら、ニコニコ笑って「そんなバカな」と言って、ブラウンガスはこういうものだと一生懸命説明していても、あまり真剣に聞いてくれなかった。では、見に行きましょうといって実際に物を見たら、びっくりしまして、私は今まで何をやっていたんだろうというほど今は信用して、小型電気分解装置などを実験用に送ってくれました。
その研究所長は、今までなぜこういう実験ができなかったかというと、水素と酸素を爆発する実験なんていうのは、ちゃんとしたところでないとできない。これは軍の施設などでないとなかなかできないので、みんなやりたくてもできない。何かあったら大変だということで。ですから、みんなが言っていることを鵜呑みにするか、ほんの小さなところで命覚悟で実験するか、そのようなことをしないと今までできなかったからです。私自身もこの次お会いしてもっと確かなことが言えるときには、何気圧まで大丈夫でしたよと言いたいと思う。もしそういうことになれば、これはかえって水素自動車よりも安定して、簡単にガソリンスタンドで電気だけあればブラウンガスが供給できるような社会が来るかもしれないということで期待はしているのですが。あまり答えになりませんけれども。
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○萱嶋 |
どうも堀内先生、興味深い話を大変ありがとうございました。 |
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