2014年3月2日20時58分
IT技術でデータを活用し、社会問題の解決に結びつける「データジャーナリズム・ハッカソン」(朝日新聞社主催)が1、2日、東京・築地の朝日新聞東京本社で開かれた。グランプリには、脳卒中の治療にかかる日数とリハビリの成果の関係性に注目し、病院ごとに比較したサービス「データで透明化する医療」(リーダー=浅井文和編集委員)が選ばれた。
国内の大手メディアが、データジャーナリズムをテーマにしたハッカソンを開くのは初めて。2日間にわたって開かれたイベントでは、外部から招いたエンジニアやデザイナーらと朝日新聞記者がチームを組み、政治意識やサッカー、防災など八つのテーマについて、インフォグラフィックやアプリを開発。その成果を競った。
グランプリの受賞作品は、専門的になりがちな医療情報をビジュアルによる可視化を試み、利用者の視点に立ったアプリで分かりやすく提示した点などが高く評価された。
開発チームの市川衛さんは「膨大なデータから、何を切り口にするかを考えるのが一番大変だった。参加したメンバーの専門性をうまく組み合わせることができた」と語った。
参加者は朝日新聞記者が提示した「スポーツ」「防災」「医療」「政治意識」などのテーマごとに8チームに分かれて記者とともに議論し、関連データの可視化やアプリ開発に取り組んだ。
準グランプリは、地域ニュースの発掘を目指す「報道空白域を探せ!」(リーダー=武井宏之・写真部次長)だった。
各チームに与えられたのは、先月20日にアイデアを議論した「アイデアソン」の1時間半と、実際に開発に取り組んだ「ハッカソン」の12時間に限られるなか、議論した内容をもとにデザインやユーザーの利用方法などを検討。アプリなどに仕立て上げた。
少子高齢化チーム(リーダー=友野賀世編集委員)は当初、記者が全国の約1800市町村の人口や高齢化の推計値の公開データを全国地図やグラフで可視化する提案をしていた。アイデアソンやその後の議論を踏まえ、医師の数や経済指標データを組み合わせたり、ツイッターやフェイスブックを利用したアンケート機能をつけたりするアプリなどの開発を進めた。
チームに加わったデジタル編集部の古田大輔記者は「記者だけでは何の機能をどこまで実現できるのかわからない。社外の人たちが加わることで生まれたアイデアの広がりと実現のスピードに驚いた」と話す。
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