トルコ、日本からの戦車エンジン購入問題は棚上げに
[アンカラ 27日 ロイター] - 戦車用エンジンの共同開発に向けたトルコと日本の政府間交渉が打ち切られたことが明らかになった。安倍政権はトルコを重要なパートナーと位置づけ、首脳会談を重ねてきたものの、同エンジンを搭載した戦車を自由に輸出したいトルコの思惑と、事前同意を条件とする日本側の姿勢が折り合わなかった。
トルコのムラド・バヤール防衛産業次官が27日、会見で明らかにした。共同開発したエンジンを載せた戦車を第三国に輸出することは認めらないと日本から連絡があり、両国は交渉を棚上げすることで合意したという。
複数の関係者によると、エンジンの共同開発構想は昨年5月の両国首脳会談で浮上。次期主力戦車を開発中のトルコが、日本にエンジンと変速機で技術支援を要請し、三菱重工業(7011.T: 株価, ニュース, レポート)が現地に合弁会社を設立する案が検討された。トルコは日本政府に対し、昨年10月の2度目の首脳会談までに支援の可否を返答するよう求めたが交渉はまとまらず、今年1月にエルドアン首相が訪日した際も合意に至っていなかった。
障害になっていたのが、同エンジン搭載の戦車を国内に配備するだけでなく、第三国へ自由に輸出したいとするトルコ側の主張だった。エルドアン政権は次期主力戦車を開発するに当たって国産化を唱っており、「外国の事前同意がなければ輸出できないという条件はトルコ国内で受け入れられない」(関係者)として、事前同意を義務付ける日本側の条件に難色を示していた。
安倍政権はトルコを重要なパートナーと位置づけるとともに、防衛装備品の輸出拡大を目指しているが、自民党と連立を組む公明党の反対などで打開策を見いだせなかった。政府内からは「トルコと開発することが日本の安全保障に資すると言えるかどうか分からない」との声が出ていた。
もともとトルコは独MTU(MTU.AX: 株価, 企業情報, レポート)のエンジンで試作車を作ったが、輸出に対してドイツが事前同意を要求。韓国にも技術協力を仰いだものの、韓国のエンジン開発が思うように進まず、「日本にSOSとなった」(自民党議員)という。
(Tulay Karadeniz、久保信博、Tim Kelly、竹中清 編集:北松克朗)
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