塩田奴隷事件、46歳容疑者を摘発

警察の実態調査に「見つかったら収容所送り」と告げ、高齢者の家に隠す

 障害者が塩田に「奴隷」として売られ、数年間働かされていた全羅南道新安郡の新衣島で、警察の実態調査から逃れるため、作業員3人を隣の家に1週間隠していた塩田所有者が摘発された。この所有者は作業員3人を事実上監禁し、1年間にわたって賃金を支払っていなかったことが分かった。

 全南地方警察庁広域捜査隊は、塩田の作業員3人の賃金3600万ウォン(約345万円)を滞納したほか、冬の間に作業員をほかの家で働かせ、人件費を横取りしていたとして、塩田所有者のH容疑者(46)に対し、恐喝や監禁、労働基準法違反などの容疑で近く逮捕状を請求する方針だ、と16日発表した。

 警察によると、4年前に郷里の新安郡新衣面クマン里(新衣島)に戻ったH容疑者は、1年前に知的障害のあるCさん(34)とJさん(40)を、6カ月前にKさん(56)を、それぞれ塩田の作業員として雇った。H容疑者は3人に対し、1カ月の最低賃金である120万ウォン(約11万5000円)を全く支払わず、最低限の食事と寝泊まりする場所だけを提供して、塩田の仕事をさせていたという。そんな中、今月6日にこの地域で「塩田奴隷事件」が発覚し、警察が塩田作業員の実態について捜査に乗り出したため、H容疑者は3人に対し「警察がお前らを収容所に送ろうとしている。警察に捕まりたくなかったら、山の中腹にある一人暮らしの高齢者の家で隠れているように」と指示したという。

 Cさんたちは1週間の間、昼は一人暮らしの高齢者の家に隠れて警察の摘発から逃れ、夜遅くに宿舎に戻っていた。だが、ある住民が警察に情報提供したことで、H容疑者による違法行為が摘発されることになった。警察は「一般人の常識では理解できないが、孤立した島では塩田の作業員として雇用された瞬間、所有者の言葉は絶対だと教え込まれ、洗脳される」と話した。全南地方警察庁は、このような違法な雇用を根絶するため、塩田作業員の人権侵害の実態について集中的に調査を行う「島しょ人権保護特別捜査隊」を17日に立ち上げる。

 一方、これに先立ち、木浦警察署と木浦雇用労働支庁、新安郡役所は合同調査班を結成し、今月10日から15日にかけ、同郡の新衣島や曽島、飛禽島など、塩田が多い島で一斉に調査を行い、塩田作業員約170人のうち20人が賃金の滞納を経験したことを確認した。警察は「現在、新安郡一帯の塩田作業員は500人ほどと推定されているが、塩の生産が本格化する4月ごろには1000人ほどまで増加する」と説明した。

新安郡= チョ・ホンボク記者
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