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ウクライナ ロシア軍事介入か重要局面
3月2日 5時13分

ウクライナ ロシア軍事介入か重要局面
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ウクライナ南部で、欧米寄りの暫定政権とロシア系住民の対立が深まり、緊迫した状況が続くなか、ロシアのプーチン大統領は議会上院から軍がウクライナ国内で行動するための承認を取り付け、ウクライナ情勢はロシアが実際に軍事介入に踏み切るのかどうかを巡って重要な局面を迎えました。

ロシアのプーチン大統領は、1日「ウクライナに滞在しているロシア国民や協定に基づいて南部のクリミアに駐留しているロシアの軍人の生命が脅威にさらされている」として、情勢が正常化するまでウクライナ国内でロシア軍が行動することへの同意を議会上院に求め全会一致で承認されました。
これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシア軍の部隊を派遣する決定は出されていない」と述べたほか、カラシン外務次官も「上院が承認したと言ってもただちに実行されるという意味ではない」と述べ、ロシア軍がすぐに行動に踏み切るわけではないと説明しています。
しかし、ロシア軍の最高司令官であるプーチン大統領は、いつでもウクライナ国内での行動を命じることが可能となり、ウクライナ情勢はロシアが実際に軍事介入に踏み切るのかどうかを巡って重要な局面を迎えました。
すでにクリミアに駐留するロシア軍の黒海艦隊は、軍事施設などの警備を強化するとして駐留地の外での動きを活発化させているほか、ウクライナの暫定政権はロシア軍が大型輸送機や軍用ヘリコプター、装甲車を展開し、ここ数日で6000人を増派したと批判しており緊迫した状況が続いています。

首都キエフの市民は

ロシア上院がウクライナ国内でのロシア軍の行動を承認したことを受けて、ウクライナの首都キエフでは市民の間で驚きと怒りの声が上がっています。
ヤヌコービッチ政権への抗議デモの拠点となったキエフ中心部の独立広場では、設置された大型モニターでロシア議会上院の審議について伝えるニュースが流れると、集まった人たちは、「恥を知れ」と口々に叫んでいました。
また、トゥルチノフ大統領代行が「世界中の文明的な国家がわれわれを支持している。外交的手段で打開策を模索していく」と国民に呼びかけたテレビ演説も流され人々は硬い表情で見つめていました。
友人と広場を訪れた若者は「ショックだ。ほかにことばが見つからない。プーチン大統領は独裁者だ。21世紀のいまこんなことが許されるなど信じられない。犠牲者が出るのはもうたくさんだ」と話していました。
初めてニュースを知った女性は、「恐ろしい。ロシアが何を考えているのかさっぱり分からない。神に祈るしかない」と涙を流していました。
また、テントを張って広場にとどまっている男性は「軍事衝突が起こらないことを祈っている。国連の安全保障理事会が正しい決議をしてくれると期待している」と話していました。

クリミアではロシア介入求める声

クリミア自治共和国の中心都市シンフェロポリではロシア系住民が連日集会を開き、ロシアの介入を求める声が強まっています。
シンフェロポリでは、1日も行政府の前の広場でロシア系住民の集会が開かれ、参加者の1人は「本当の名前に戻る時がきた。私はロシア。ウクライナではありません」と書いた紙を掲げてロシアとの連帯を訴えました。
シンフェロポリでは、先月27日以降所属不明の武装したグループが議会と地方政府それに空港を次々と管理下におき、1日からは警察に代わって市の中心部でも警備にあたるようになりました。
この武装グループは、いまも自分たちについて明らかにしていませんが、市民の間では階級章を外したロシアの軍人ではないかという見方が広がっています。
このため、ロシアへの編入を求めるロシア系市民には好意的に受け止められていて、集会に参加した女性は「ロシアだけが私たちを守ってくれる」と話していました。
一方、暫定政府を支持する少数民族クリミア・タタール人の男性は「ウクライナのままがいい」としたうえで「でもロシアはきっとこの町を奪ってしまう」と話していました。

EUロシアに自制求める

ウクライナ情勢の緊張の高まりを受けてEU=ヨーロッパ連合のアシュトン上級代表は声明を発表し「ロシアがウクライナ国内で軍の行動を認めたのはむやみに緊張を高めるだけだ」と強い懸念を表明したうえで「軍の派遣を取りやめるよう求める」としてロシアに自制を求めました。
EUは週明け3日に緊急の外相会議を招集して対応を協議するほか、アシュトン上級代表がロシアのラブロフ外相と会談し、ウクライナの緊張緩和に向けた外交努力を強める方針です。

仏大統領 強い懸念

ロシアの議会上院がウクライナ国内でロシア軍が行動することを承認したことについて、フランスのオランド大統領は1日声明を発表し「ウクライナの領土と主権を著しく脅かすものだ」と述べて強い懸念を示しました。
そのうえで「外部による介入と差し迫った危機を回避するためあらゆることがなされなければならない」と述べ、週明けの3日に開かれることが急きょ決まったEUの外相会議で一致した対応を直ちに決断するよう呼びかけました。

NATOがロシアに自制促す

ウクライナ情勢の緊張の高まりを受けて、NATO=北大西洋条約機構のラスムセン事務総長は緊急の声明を出し、「ロシアはウクライナの主権と領土の一体性を尊重しなければならない」と述べ、ウクライナ国内でのロシア軍の行動を承認したロシアに自制を促しました。
NATOは先月27日にブリュッセルで開いた国防相会議でも、「緊張を高め誤解を招くような行動を慎むようロシアに対して求める」とする声明を発表し、軍事介入をちらつかせるロシアを繰り返しけん制していました。
また、EU=ヨーロッパ連合は週明け3日に緊急の外相会議を招集し、対応を協議することになりました。
ウクライナ情勢を巡ってEUが緊急の外相会議を招集するのは、先月20日に続いて2回目です。
会議ではロシアの議会上院がウクライナ国内でロシア軍が行動することを承認したのを受けて、ロシアに自制を促すとともに緊張の緩和に向けた対応を協議するとみられます。

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