浅田真央の物語と女子スポーツ(下)(3/3)

2014年2月28日

【特別寄稿】深澤真紀がソチ五輪・女子フィギュアで考えたこと

女子アスリートの生き方〜競技と結婚・出産

 結婚適齢期だから引退するはずだった東洋の魔女の時代から、女子アスリートたちは、競技という“仕事”という仕事と、結婚や出産の両立を目指すようになり、今では珍しくなくなってきた。

 スピードスケートの岡崎朋美はなんと5回も五輪に出場し、1998年の長野五輪では銅メダルを獲得している。結婚後、2010年のバンクーバー五輪に出場、その後39歳で出産してるが、さらにソチ五輪も目指すほどであった(残念ながら出場できなかった)。

 柔道の谷(田村)亮子も5回の五輪に出場している。
 独身時代の2000年のシドニー五輪は金、結婚した最初の2004年のアテネ五輪でも金をとったため、「田村でも金、谷でも金、ママでも金」と言う名言を残した。
 残念ながら出産後の2008年の北京五輪は銅であったが、5回の五輪全てでメダルを取っているというのは、やはり偉業であろう。

 また、フィギュアの安藤美姫も出産後もソチ五輪を目指した(かなわなかったが、私は彼女のファンである)。

 これ以外にも夏のロンドン五輪や今回のソチ五輪には、さまざまな既婚アスリートや、子ども供のいるアスリートが登場していたのだ(なんでもかんでも“ママ○○”と呼ぶのはどうかと思うが)。

 読者の皆さんにも、それぞれに思い入れのある女子アスリートがいると思う。
 アスリートの競技(コンテンツ)と、その人生の物語(コンテキスト)は本来は別物であり、競技内容よりも物語ばかりに注目するのは決してよいことではないだろう。

 それでもロールモデルがまだまだ少ない働く女性にとっては、女子アスリートの生き方に注目してしまうのだと思う。


コラムニスト・編集者
タクト・プランニング代表取締役社長 深澤真紀


ふかさわ・まき/1967年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、複数の出版社で編集者を経験したのちに企画会社である同社を設立。日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名。「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内外で話題に。平成の女性を語った『女はオキテでできている−平成女図鑑』(春秋社)や、『ダメをみがく――“女子”の呪いを解く方法』(津村記久子との対談集、紀伊国屋書店)など著書多数。『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ)が2014年3月に発売予定。
公式サイトhttp://www.tact-planning.com
日経ウーマンオンラインで『深澤真紀の女オンチ人生』などを連載。

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