“浅田真央”という物語と女子スポーツ(3/3)

2014年2月25日

【特別寄稿】深澤真紀がソチ五輪・女子フィギュアで考えたこと

 そして、日本ではなでしこジャパンが活躍する女子サッカー。サッカーは世界で最も人気のあるスポーツの一つであるが、これも「男のスポーツ」と信じられてきた。
 1908年の第4回ロンドン五輪から正式競技だったのに、「女子サッカー」は1996年の第26回アトランタ五輪で、こちらも男子から90年遅れて正式競技になっている。
 つまり20年もたっていないのだ。たしかに私が中学高校時代だった30〜40年前には、女子サッカー部はなかったものである。
 
 また、イスラム圏ではいまだに女子スポーツへの偏見は強く、五輪に女子選手を派遣しない国もあったのだが、2012年の第30回ロンドン五輪ではじめて、204の全ての出場国・地域で女子選手が派遣されることとなったのだ。
 また、このロンドン五輪では、女子ボクシングがはじめて正式競技(男子は1904年の第3回セントルイス五輪から採用、こちらも実に100年遅れたのである)となったことで、すべての競技に女子選手が出場することになった。

 ここまでくるのに、近代五輪が実施されて116年もたっているのである。
 ある意味でこれは、「男性社会の中で働く」私たち女性の姿と重なっているのかもしれない。
 そのために私たちは浅田をはじめとした、女子選手の生き方が気になってしまうのだろうか。
 次回もこのテーマについて語っていきたい。


コラムニスト・編集者
タクト・プランニング代表取締役社長 深澤真紀


ふかさわ・まき/1967年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、複数の出版社で編集者を経験したのちに企画会社である同社を設立。日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名。「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内外で話題に。平成の女性を語った『女はオキテでできている−平成女図鑑』(春秋社)や、『ダメをみがく――“女子”の呪いを解く方法』(津村記久子との対談集、紀伊国屋書店)など著書多数。『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ)が2014年3月に発売予定。
公式サイトhttp://www.tact-planning.com
日経ウーマンオンラインで『深澤真紀の女オンチ人生』などを連載。

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