Akaiekablog

インターネット大好きおにいさん

これでいいのかあなたの想像力

こんなニュースが話題になっていました。そんなに長くないのでぜひ引用元で全文読んでみてください。

消防署長 大雪の日 勤務中にゲーム NHKニュース

大阪・貝塚市消防署の署長が大雪による通報が相次いでいた今月14日の勤務中に、スマートフォンでゲームをしていたことが分かり、貝塚市が処分を検討しています。
~中略~
この日、大阪府内は大雪でスリップに伴う追突事故や歩行中に転倒する人が相次ぎ、消防への通報はふだんより多い状態だったということです。
また谷川署長は市から貸与されたパソコンで、勤務中に町内会の資料を作成したり、業務とは関係ないホームページを閲覧したりしていたということです。
貝塚市は谷川署長から事情を聴くなどして処分を検討しています。
~後略~


さて、このニュースを読んでみなさんはどう感じましたか?



はてなのコメントではこんな反応が人気でした。
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ネタ的な大喜利コメントはさておき、この署長を擁護するコメントが多数のスターを得て人気のようです。


また、ちょうど大雪の日に勤務していたという消防士さんのブログが見つかったのでそこからも引用させて頂きます。読んでみてください。

~前略~
前回の当番の時も予報通り雪が降りました。
1週間ほど前にも同じように雪が降りまして、終わってみれば記録的な大雪に。個人的には1週間前の雪よりもひどいような感じでした。
消防署の車庫前は雪かきしてもまた積もって…のイタチごっこ。救急要請の内容もスリップしたとか、滑って転んだとか。まるで1週間前を再現しているよう。

しかし雪の質、量ともに1週間前より状況が悪くなり、路面は凍結し凸凹が激しく雪も深い。轍しか走れず、緊急走行時に反対車線に避けて走るのも難しい状況。
轍が線路で、所々乗り捨てられた車を避けようと反対車線に出たと思われる轍がレールのポイントの様で。電車を運転してるような感覚でした(苦笑)
全体的に救急要請も多く、またこんな路面状況でしたので徐行しかできず。1件にとても時間がかかりました。
病院の帰りも全然消防署に戻れず、スタックしてしまった車を脱出させてはガタガタ道を徐行して帰っての繰り返し。
そうこうしている間にまた救急指令がかかっては現場に行って病院行って。引継ぎ時間になっても署に戻れずお昼にやっと戻れたほど。長い延長勤務となってしまいました。ほとんどの救急隊が昼まで引継ぎできなかったみたいですね。

ほとんど寝れずだったけどやっと終わった勤務、帰って今すぐにでも寝たいところではあったんですが、自宅周辺はやっぱり雪かきせねばいけない状況でした。
~後略~

大雪 - 消防士 兼 旅人の日記


最初にニュースを読んだときと、この署員のブログを読んだ後ではなにか感じ方に変化はあったでしょうか。

この署員のブログを読んだ後だと、とても大変な一日で、遊ぶ暇や私用に費やす時間などなかったことがあらためてわかります。
ここでは(主観的な)事実としてブログを引用していますが、しかしこんなことはこのブログを読むまでもなく、このニュースをみたときに「大雪の日の消防署」という状況で想像でわかることです。そんななかで遊んでいたり、私用に時間を費やしていたら批難する人がいるということも同時に理解できます。
だからこそ記者はニュースになると思って最初の記事を書いたのでしょう。

しかし、現実としては、客観的に事実を伝えているだけの最初のストレートニュースでは、殆どの人がこうした点を読み取れず、

「災害時とか関係なく業務中に遊ぶなよというのが建前的意見」

「こういうの見るたびにいつも思うが、業務中に関係ないホームページを全く見たことがない人なんて存在するのかね。」

「やることやっていれば何の問題もない。大雪の日の所長の働きはどうだったか、指揮はどうだったか、備えは適切だったかとか、そーゆー所を突っ込まないと意味ない。小学生が先生に言いつけてやるっていってるレベルだ」

といったような、まさに机上の空論的なトンチンカンな指摘をするコメントが支持を得ています。

結局、最初のストレートニュースで状況が読み取れないとなると、このようにある程度解説しながら説明して行くしかないわけで、その過程で主観が入りニュースの本質が失われていくのは必然のような気がします。こうしたワイドショー的なやり方は恣意的な印象操作だとネット上のいたるところで批難されていますが、ワイドショーのようにわかりやすくしないと置かれている状況がわからないのが本当の問題点ではないでしょうか。


最近あった佐村河内事件とかも、結局はこうした想像力の欠如に一番の問題があるのではないかと思ってそういったところと絡めて書きたいけれど長くなると思うのでまた今度があれば。
今回はあえて太字を使って演出してみました。