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2014年03月01日
■ニュースでも取り上げられた「ネトウヨ」
先日、日本憲法の改正について中国が大々的に報じ、国際問題化させる意図があるかもしれないと述べた。しかし中国の日本脅威論はまだまだ終わらないようだ。ついに「ネトウヨ」という言葉をニュースで報じ、安倍晋三首相や田母神俊雄氏を支持している人に対する批判まで始めた。しかし、その本当に日本批判をしているのかは微妙なところである。その実、自国批判である可能性もあるからだ。
■中国と田母神俊雄氏
先日、記事「『安倍首相、憲法96条改正に意欲』を大々的に報じた中国、憲法改正も国際問題化するのか」(http://kinbricksnow.com/archives/51887511.html)で、根本的には日本の国内問題でしかない憲法改正に中国が敏感に反応、国際問題化させようとしているのではないかと指摘した。しかし中国の日本脅威論を煽るような報道はまだまだ終わらないようだ。中国の報道は今度は日本の「ネトウヨ」の批判を始めた。
ターゲットとなったのは東京都知事選に出馬した田母神俊雄氏だ。中国中央放送局(CCTV)は田母神俊雄という極右翼分子が東京都知事選で60万票を集めたと報じている。
中国とは直接関わることのない日本の地方選挙でしかも落選した人の話題をなぜ大きく取り上げるのか、理屈から言えばおかしな話である。中国は田母神氏をかなり厄介な存在と考えているのだろう。ちなみに田母神氏の話題の際には枕詞のように論文「日本は侵略国家であったのか」の著者と紹介されている。
■Twitter?Facebook?
田母神氏への批判が一段落すると、今度は田母神氏のTwitterが人気だと紹介しているのだが、その際に「網絡右翼」という言葉を使っている。「網絡」は中国語でインターネットの意味。つまり「ネトウヨ」の直訳だ。田母神氏だけではなく、安倍首相のFacebookもネトウヨとして批判されている。
ネットでの支持そのものまで批判の材料とされるとは、なんでもかんでも材料として日本脅威論を垂れ流そうとする強引さにしか見えないのだが。
ちょっと気になるのはTwitterもFacebookも中国では検閲の対象で、特殊な手段をとらないかぎりアクセスできないようになっている。いわばないものにされているサイトを堂々と紹介しているわけだ。実はネトウヨ批判にかこつけて、他国には「自由にものが言える空間があるのだ」と国民に紹介しているのだろうか。「指桑罵槐」(桑の木をさして槐の木を罵る、なにかを批判する行為に、別のものを批判する暗喩を込めること)の伝統がある中国だけにありえない話ではない。
■日本の「右翼」批判?中国の「国粋」批判?
ちなみに中国では日本の「右翼」はともかく悪者扱いされる。中国人だけではなく、日本の中国シンパの人にとっても同じようだ。以前、日本のある大学教授が北京で講演会を開いたが、「魚釣島(日本名は尖閣諸島)を日本領だと思っている人は右翼という日本大好きな頭のおかしな人たちだけだから大丈夫」と耳を疑うようなことを言っていた。
その大学教授の問題はさておき、中国では「右翼」と言う言葉は政治思想的な右、左という意味から離れ、明らかな悪、軍国主義者とイコールのような意味で使われているのが現状だ。
かくして日夜、日本右翼批判が繰り広げられているわけだが、これもまた「指桑罵槐」があってもおかしくはない。というのもいまだに愛国教育、イデオロギー教育が濃厚な中国だけに国粋主義的傾向の強さは日本以上だ。日本軍国主義の復活、日本「右翼」批判はすべて自国に跳ね返ってきそうな話である。これもCCTVの巧みな自国批判ではないだろうか……というのは考えすぎだろうか。
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