ロシアへの帰属を求める動きが強まるウクライナ南部クリミア半島のクリミア自治共和国。駐留ロシア軍の基地がある南部セバストポリでは空港が封鎖され、軍車両がひっきりなしに行き交っていた。

 1日、首都シンフェロポリから南西へ約120キロの沿岸部セバストポリへ向かった。ブドウ畑が広がる田園地帯を貫く幹線道路を進むと、ロシア国旗を掲げた検問所が突然現れた。「ここはロシアだ」と書いた横断幕が張られている。

 検問所を運営しているのは親ロシア派の市民だ。4日前からテントを張って寝泊まりしながら検問を続けているという。「キエフのファシストからクリミアを守らなければならない」。運転手のバシリ・ブシュコさん(42)は話す。武装はしていないが、「何かあれば、15分以内に武器を持った人々が来る」。ロシア軍と協力しているのかと聞くと「自主的にやっており、誰とも協力していない」と否定した。

 ベルベク空港付近の道路には別の検問所があった。3台の乗用車や金属棒で封鎖されている。道路の先にはロシア黒海艦隊の基地があるという。「ここから先へ入ると撃たれるぞ」。検問で見張りを続けるウラジーミル・ビノグラドフさん(56)に忠告された。腕にはオレンジと黒のしまのリボンを巻いている。過去の戦争でのロシアの勝利を象徴しているという。