津地裁:スト差し止めは違法…病院側に330万円賠償命令
毎日新聞 2014年02月28日 13時35分(最終更新 02月28日 13時47分)
三重県鈴鹿市の精神科病院が職員組合のストライキを違法に差し止める仮処分を申し立て、争議権を侵害したとして、組合が1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、津地裁(山下隼人裁判官)は28日、病院側に330万円の賠償を命じる判決を出した。
判決で山下裁判官は病院のスト対応について「憲法が保障する争議権の重要性に鑑みれば、病院が真摯(しんし)な努力をした上でなお、患者の生命・身体の安全に害が生じる具体的な危険性があると認められなければ、差し止めを求めることはできない」と指摘。病院の申し立てに「故意または故意に比肩すべき重過失がある」と判断した。
訴えていたのは、民間病院「鈴鹿さくら病院」の職員が加盟する三重一般労組同病院分会など。
判決によると、同分会などは2012年8月20日、職員手当などの問題をめぐり、病院にストを事前通告。業務上の保安要員を確保したうえでストに入った。しかし、病院は同日、「入院患者の生命・身体の安全」を確保するためとして、津地裁にストを禁止する仮処分を申し立て、同地裁は2日後に病院の申し立て通りの決定を出した。このため、同分会などはストを中止し、同年9月に提訴した。
判決後、原告側弁護士は「かなり踏み込んだ認定で満足している」と述べた。病院は「担当者がいない」などとコメントした。【永野航太】