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フィギュアスケートのジャッジ
ライター:megutazu0829さん(最終更新日時:2013/10/10)投稿日:2013/6/17 アドバイス受付中!
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はじめに
フィギュアスケート競技のジャッジはレフェリー1名、テクニカル・コントローラー(以下、TC)1名、テクニカル・スペシャリスト(以下、TS)1名、アシスタント・スペシャリスト(以下、ATS)1名と
データ&リプレイ・オペレーター、採点ジャッジで構成されます
これらをまとめて『オフィシャル』と呼ばれています
ジャッジ資格には最高峰のISUジャッジ資格と、それに準じる『インターナショナル・ジャッジ』の2種類があり、それぞれ担当できるカテゴリが異なります
オフィシャルの仕事
技術審判
①テクニカル・コントローラー(TC)
3人いる技術審判の最高責任者。
TSの宣言を監督し、承認もしくは確認し、必要があれば訂正する
(ただし、テクニカルスペシャリストがその訂正に同意しない 場合は、
TC、TS、ATSの三名による多数決で最終判断)
システムコンピューターに入力された要素の名前とレベルを確認する。
②テクニカル・スペシャリスト(TS)
別名『コーラー』。ジャンプの種類や試みた回転数、回転が足りているか、
ルッツ、フリップを正しいエッジで跳べているか、また、スピン、ステップなどのレベルを瞬時に判断し、コールを行う。
転倒などの減点行為を精査する
革新的要素が行われた場合、それを判定し、ボーナス(2点)を(シングル・ペアのみ)
選手のエレメンツを具に見ていることから「Spotter( 監視人)」とも呼ばれる。
③アシスタント・スペシャリスト(ATS)
選手が事前に提出したプログラム構成シートを元に、次にどんなエレメンツが行われるかをTSに注意を促したり、TSの判定に異議があるときには「レビュー(ビデオ再生で確認しての判定のやり直し)」をコールすることができる
※TS,ATSは元選手でなければ資格を持つことはできません
④リプレイ・オペレーター
「レビュー」を求められた時のビデオ再生係
⑤データ・オペレーター
要素や判定などの入力
その他
①レフェリー
オフィシャルの名前の順番で頭に来ることが多いですが、技術審判ではありません
競技会と審判団の監督を行う
②採点ジャッジ
技術面において、実施された要素のGOE(Grade of Execution )を-3、-2、-1、±0、+1、+2、+3の7段階評価でつける
演技構成点を10段階評価をつける
大会カテゴリと派遣されるジャッジ
カテゴリー1
五輪、(ジュニア)世界選手権、欧州選手権任命権・・・ISU会長(オッタビオ・チンクアンタ)
オフィシャルはすべてISUジャッジ資格
・10月末~11月あたりに採点に参加する13か国が選出される
(この時点でのジャッジ氏名は不明です。氏名は直前に公表されることになっています、
リストから外れた国は大会当日ジャッジに入ることはありません)
大会前日に抽選を行い9名が第1セグメント(SP)を担当。
外れた4名はFS担当に回ります。
第1セグメントを担当した9人からさらに抽選が行われ、選出された5名がFSを担当します。
※13名のジャッジのうち、SPとFS両方で採点を担当するジャッジは現れても
リストに入ったジャッジでSPもFSにも採点に参加できないということはありません
※欧州選手権の場合は採点ジャッジは欧州のISUジャッジ資格者のみで構成されます
(アジア、オセアニア、アメリカ地区のジャッジが入ることはありません)
四大陸選手権
主催・・・ISU
任命権・・・ISU会長
ジャッジ資格・・・オフィシャルはすべてISU資格
・10月末^11月あたりに採点に参加する9カ国のジャッジとATL(補欠)の4か国が選出される
9か国ですので欠員が出るでもない限りはSPとFSの採点ジャッジ参加国は変わりません。
ATLに関しては欧州ジャッジが入って良いことになっています
※よく『知恵袋』質問・回答や個人ブログで「ジャッジの国籍、氏名が明かされない」
という書き込みを目にしますが
最初に国籍のみ公表され、大会直前に今度は国籍が伏せられて
氏名だけが公表されることになっています。
参加するジャッジ氏名はISUが発表するオフィシャルのリストに全員記載されていますので
完全に匿名ということはありません
カテゴリー2
ISUグランプリシリーズ、シニアグランプリ・ファイナル、ジュニア・グランプリファイナル主催・・・ISU
任命権・・・ISU会長
ジャッジ資格・・・オフィシャルはすべてISUジャッジこちらは採点ジャッジの氏名、国籍も公表されています
ジュニア・グランプリシリーズ
主催・・・ISU
任命権・・・ISU会長
ジャッジ資格・・・技術審判、データ・オペレータ、リプレイオペレーターはISUジャッジのみ
【レフェリーと演技審判は国際ジャッジが入って良い】
採点ジャッジの氏名、国籍は公表
カテゴリー3(カレンダー・コンペティション)
ネーベルホルン杯、フィンランディア杯など
主催・・・開催国・地域の団体
任命権・・・開催国・地域の団体。
ジャッジ資格・・・全て『国際ジャッジ』資格で構成して良い
※但し「五輪最終予選」と指定されている場合はオフィシャルはすべてISUジャッジで構成される
ポイント
- 「五輪最終予選」と指定されると「公式大会」として扱われます。
- 選手たちがこの大会で出したスコアは「公式記録」として認定を受け
- シーズンベストスコアやパーソナルベストスコアにも反映されることになります
- 2005年にはカール・シェーファー・メモリアル大会が、
- 2009,2013年にはネーベルホルン杯が五輪最終予選と位置付けられ
- スコアがシーズンベストに反映されています
ジャッジの査定(OAC=Officials Assessment Commission)
OACとは?またメンバーの働きとは?
ジャッジに不正採点は許されません。そのため、判定が正しく行われているか、GOE、PCS評価に不自然な評価のばらつきがないかを精査するために、2010年ISU Communication 1631にて
OAC制度というものが設けられることになりました
まず、次の条件を満たす ISU ジャッジ・レフェリー・テクニカルコントローラーは
「OACプール =審判査定委員候補」 としてリストアップされ、
GPシリーズやISU選手権や五輪での着任に応じるよう、ISU会長の名において随時 求められます。
その条件とはこちらの二つです
a) 直近の ISU ジャッジ・レフェリー・テクニカルコントローラー の名簿に載っている者で、
理事会の主催するセミナーに参加でき、かつ、過去3年間に 「アセスメント1(後述)」 を超える注意を受けていない。
b) 競技のデータを分析する能力のあること。迅速かつ整然とした仕事ができること。
英語を書けること。レポートを書き慣れていること。
常に客観性を保っていることを実際に示せること。
また、実際にこの中からOAC委員に任命されると、
その大会においてジャッジ、レフェリー、あるいはテクニカルコントローラーに就くことはできません。
また任命時点以降のシーズン中の他の試合についてもジャッジに就かないことが「推奨」されています。
OACの派遣される大会
五輪、ISU選手権大会(世界選手権、ジュニア世界選手権、欧州選手権、四大陸選手権)
⇒3名以上が任命。各試合直後に現地で種目毎に委員2名が採点のプリントアウトを見ながら
非公開でこれを行う。
PCSについては委員同士で協議したうえで査定し、OACとしてのPCSを後述の計算で加味する
査定委員はまた演技審判が各自単独での採点を守っているか、助力を求めていないか、以前の成績資料を見ながら採点していないかも査定し
これらについては試合中にもそうしたジャッジの異常はレフェリーに伝える
GPシリーズ(シニア・ジュニア)、国別対抗戦
各試合・種目ごとに2名。
ハードコピー資料と DVDとを元に、自宅で早急かつ非公開で、これを行います。
それ以外のISU承認のカレンダー・コンペティション
OAC委員は派遣されませんが、レフェリーが演技審判員の行動についてのレポートを提出。
採点面でGOEについてのみ異常があれば報告の対象となる
査定の方法
ISU Communication 1631よりhttp://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/comm1631j_p2e.pdf#search='ISU+Communication+1631'
(1)採点ジャッジGOE の査定
・ 全審判員とレフェリーの採点とがコンピューターに入力され、
各スケーターの一つ一つの演技要素ごとに、平均点が出されます。
審判員の数が7以上の試合の場合は、レフェリーの採点を2倍にカウントします。
<この平均点は、実際のスケーターの競技結果とは別ものになります>
・ 各審判員の採点について、この平均点からどれだけ逸脱しているかが演技要素ごとに算出されます。
・ GOE の場合、プラス側・マイナス側、それぞれの絶対値の合計(「偏差合計」<仮訳>)が競技ごとに算出されます。
例:ショートプログラム
最初に+評価だけの誤差を計算します。
すると、1.8+1.8+0.2=+3.80
すると、-0.2-0.6枚無し1--1.2=-3.00
-要素では合計3.00が平均よりかけ離れていることになります(という理屈です)
足していくので-の誤差もプラスに直して足していきます。
3.80+3.00=6.80がこの7つの要素における総合の誤差ということになります
要素にはそれぞれの要素につき1.00の誤差が生じると考えられています。
SPは7つ要素がありますので総合で7.00
FSは男子は13要素、女子は12要素ありますので男子は最大13.00の誤差が、
女子は12.00の誤差が「許容範囲」として認められています(という計算です)
この考えられる誤差7.00の基準をAジャッジの評価は超えていませんので
このジャッジは「異常な採点はしていない」と見なされることになるのです
もしもこの許容範囲を超えた数値になってしまうとアセスメント(報告書送り)となってしまいます
(2)採点ジャッジPCSの査定
・ 全審判員とレフェリー、そして現地に査定委員がいる試合では
OAC による PCS 採点(一つに集約)とが各スケーターごとに コンピューターに入力されます。
レフェリーと OAC とは 1.5 倍されます。
GP シリーズと WTT のみについては審判員の数が7以上の時、レフェリーは 2.0 倍されます。
・ 各スケーターの PCS 5項目それぞれごとに、平均点が出されます。
各審判員について、この平均点からの差の値が各 PCS 項目ごとに算出されます。
PCS の場合、プラス側・マイナス側、それぞれ符号が活きた状態での合計(「偏差合計」<仮訳>)が競技ごとに算出されます。
PCSに関しては各要素につき1.25の誤差があり、合計7.50の誤差が許容範囲とされています
コンポーネント平均 Aジャッジの評価 誤差
+評価の誤差は0.80+1.75+1.45=4.00
ここで注意しなければならないのはPCSの場合-の合計を+に直して足すのでなく
(プラス要素の誤差--要素の誤差)で計算されます
そのため4.00+3.60=7.60になるのではなく4.00-0.60=0.40
というのが、PCSにおける誤差となります
そのためこのAという審判はPCSに関しても平均から逸脱した評価はしていないとされてしまうのです
(3)技術審判の査定
テクニカルパネル3人の判断、また データオペレーターや再生オペレーターについては、
任命された審判査定委員の他にも 以下の者が、間違い等を指摘することができます
会長、理事会、重役会、該当技術委員会、ラウンドテーブル会議に出席したレフェリーなど
誤った判断等についての指摘は、フィギュア部門の副会長に根拠を添えて
レポートの形で提出されます
この副会長は自ら指名する4人の匿名委員それぞれにこれを送ります。
この4人は相互にも非公開で かつ 全員所属連盟(国)が異なっており、次の構成になります。
・ 指摘を受けた者や演技したスケーターとは異なる国籍のテクニカルコントローラー 1名または2名
・ 指摘を受けた者や演技したスケーターとは異なる国籍のテクニカルスペシャリスト 1名または2名
・ 該当技術委員会から 1名、ただし該当技術委員会の委員がその試合のテクニカルパネルやレフェリーに参加していた場合は 0名
この4名からバラバラに受けた結果をもとに、副会長は録画や テクニカルパネルの作業時の録音を参照しながら意見書を作り、最終的には理事会が査定についての決定をします。
査定におけるアセスメントはどんどん累積され、「アセスメント4」に達してしまうと
降格処分を受けたり資格はく奪という罰則を受けてしまいます
ジャッジの報酬
フィギュアスケートの審判は膨大な試験とセミナー、実地訓練を受けて試験をパスしてようやくなることができるのですが
その間のセミナー参加量、交通費、受験料は全て自腹です
ジャッジとして採用されても最低限の交通費と宿泊料以外には報酬は出ないといわれているようです
フィギュアスケート選手の大会ごとに与えられる報酬は知恵ノート「フィギュアスケートの気になる賞金」にて述べさせていただきました
それではジャッジたちは一体いくらの報酬を得ているのでしょうか
isu communication 1794にて発表された2013-2014年ジャッジ報酬には
以下のような報酬が明記されています
フィギュアスケート(男女シングル、ペア、アイスダンス)
シニアGPS(ファイナル含む)、世界国別対抗戦⇒オフィシャル全てに300スイスフラン
ジュニアGPS(ファイナル含む)
⇒オフィシャル全てに200スイスフラン
フィギュアスケート選手権大会(世界選手権、欧州選手権、四大陸選手権)
・TC、TS、ATC、
⇒350スイスフラン
・データ・オペレータ、リプレイ・オペレータ
⇒300スイスフラン
・レフェリー、採点ジャッジ、OAC(Officials Assessment Commission=審判査定委員会)メンバー
⇒300スイスフラン
シンクロナイズド・スケーティング選手権大会
・TC、TS、ATS⇒200スイスフラン
・レフェリー、ジャッジ、データ&リプレイ・オペレータ、OACメンバー
⇒150スイスフラン
オフシーズンの報酬
降職や中断することなく務めたジャッジには以下の報酬を与える・3つの大会に参加⇒+500スイスフラン
・4つの大会に参加⇒+600スイスフラン
・5つの大会に参加⇒+700スイスフラン
その他、1大会追加される毎に+100スイスフラン
たとえばAジャッジが1シーズンに
ジュニアGPSブラソフ大会、スケートカナダ(シニア)、NHK杯(シニア)、欧州選手権
という4つの大会に参加したとします
200+300+300+300=1,100スイスフラン
という大会報酬を得ることになります
このジャッジは4つの大会にジャッジとして参加していますので
シーズン終了後にはISUから+600スイスフランが報酬として支払われるため
総額で1700スイスフランを手にすることになります
オフィシャルはジャッジ活動を停止していたり、OACの査定により降格処分を受けると
シーズン後の報酬を受け取ることができません。
それどころかシーズン中受け取った大会の報酬全てを返納しなければならないという厳しいルールになっています
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