「……なんだよ。オマエらマジでそんなことが起こったとか思ってんの?」
「いや……、さすがに僕も本当に星が降ったとは考えていない。けれど……、皆がそう思ってしまうようなことがあったのは事実です。そうでしょう?」
「……まあ、な」
(ルイくんの言う通りだよね)
私も、そのライブの詳細まではわからない。
けれど、確かに彼らのライブでは流星が降り注いだという伝説は残っている。
(皆が流星が降り注いだ、って思うようなことがあったってことだよね)
一体何があったら、そんな伝説が残るのだろう。それを考えると、なんだかわくわくとしてきてしまう。
「で、オレ達が4人でグループを作れば、そんなすげートップアイドルみたいになれるって?」
「グループになることでトップアイドルになれるとしても……。僕はグループを入るのは」
「嫌ならこの事務所を辞めてもらうわ」
「……!?」
なおもグループで売り出すことに対して躊躇を見せたルイ君に、社長がはっきりと宣言する。
「あなた達はそれぞれ単独では芽が出なかった。その自覚はプロとして当然あるわね?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
4人は、それぞれ視線を伏せる。
「それを、あなた達に才能がなかったからだと斬り捨てるのは簡単なことよ。でも、私はそうじゃないと思ってる」
「そうじゃないって……」
「さっきも言ったとおり、私はあなた達の才能の輝かせ方を間違っていたのかもしれない。あなた達は、信じ合える仲間を得て、より強く輝く星の原石なのかもしれない」
ひとりでは、存分に輝けない星。互いに照らし合うことで、より強い光を放つ星。
社長は、彼らはそんな星なのではないかと思っているのだ。
「だから、私はあなた達にこうしてグループを組むように言っているの。これが最後のチャンスだと思って」
「最後の……?」
「つまり、これで失敗したらこれ以上はオレ達をアイドルとして売り込む気はないってこと?」
「そう思ってくれていいわ」
「……っ」
その内容に、アールが息を飲む。断ることなど出来ないということが、良くわかったのだろう。そして、このアイディアを受け入れ成功する以外で、アイドルとして成功する術がないということも。
「グループ名は、MARGINAL#4(マージナルナンバーフォー)。デビューライブは、ユニバースFESよ。そこで、あなた達はお客さんたちの前で華々しくデビューするの」
「マージナル……、#4?」
「ええ。MARGINAL#4、よ」
すでに社長は彼らのグループ名や、デビューとなる場所まで考えているらしい。
ますます断れない状況だ。社長は十分に追い込む準備をした上で、この話を彼らに持ってきているのだ。
「ねえ、片岡さん」
「は、はい!」
ほとんど傍観者のようになっていたところで、私は社長に名前を呼ばれた。びくっと背筋を伸ばして、改めて社長に向き直る。
「あなたは……、引き受けてくれる? 彼らのマネージャーを」
「私、が……?」
驚く話ばかりで忘れていたが、一番最初に社長は私のことを、彼らを担当するマネージャーとして紹介していた。この私が、彼らをこれから育てていくのだ。
(この個性豊かな4人を、私が)
この場に集まった、4人の個性豊かなアイドル達を改めて眺める。気が強く、自信家なところはあるが確かな才能を感じさせるアトムくん。なんでも卒なくこなすのに、何故か人の心に残らないルイくん。人懐こく、人目を惹く華を持ちながらも癖の強いエルくん。おとなしく、弟の影に隠れがちのアールくん。
(この4人と、私が……)
「私、やります」
社長にはっきりと言った。
彼らは、強い光をその内側に秘めた原石だ。それは、社長も認めている。その原石を輝かせる協力が私に出来るのなら……、それは素晴らしいことだと思ったのだ。
「ふふ、なら決まりね。今日からあなたたちにはMARGINAL#4よ。ユニバースFESの詳細はまた後ほど知らせるから、これからしばらくはFESに向けての準備を中心に活動していくことになるわ」
「ユニバースFES……」
「まずはそのFESで十分に人を集めることが出来るかどうかが課題ね」
(そう……、だよね。いくらFESでデビューだからっていって、そのお披露目の会場にお客さんがいないんじゃ困るもの)
それまでにしっかりと前宣伝をして、お客さん達に彼らのことを好きになって貰わなければ。
「えっと、何か活動にコンセプトとかって決まってるんですか?」
アイドルには、売り文句になるようなコンセプトが必要だ。キャッチーで、お客さんの心に残るようなコンセプトが。
「それももちろん考えてあるわ。ずばり……“銀河の果てまでKISSを届けるアイドル”!」
「き、キス!?」
「流星を降らせるなんて奇跡を起こすには、それぐらいじゃなきゃ!」
「いや……、さすがに僕も本当に星が降ったとは考えていない。けれど……、皆がそう思ってしまうようなことがあったのは事実です。そうでしょう?」
「……まあ、な」
(ルイくんの言う通りだよね)
私も、そのライブの詳細まではわからない。
けれど、確かに彼らのライブでは流星が降り注いだという伝説は残っている。
(皆が流星が降り注いだ、って思うようなことがあったってことだよね)
一体何があったら、そんな伝説が残るのだろう。それを考えると、なんだかわくわくとしてきてしまう。
「で、オレ達が4人でグループを作れば、そんなすげートップアイドルみたいになれるって?」
「グループになることでトップアイドルになれるとしても……。僕はグループを入るのは」
「嫌ならこの事務所を辞めてもらうわ」
「……!?」
なおもグループで売り出すことに対して躊躇を見せたルイ君に、社長がはっきりと宣言する。
「あなた達はそれぞれ単独では芽が出なかった。その自覚はプロとして当然あるわね?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
4人は、それぞれ視線を伏せる。
「それを、あなた達に才能がなかったからだと斬り捨てるのは簡単なことよ。でも、私はそうじゃないと思ってる」
「そうじゃないって……」
「さっきも言ったとおり、私はあなた達の才能の輝かせ方を間違っていたのかもしれない。あなた達は、信じ合える仲間を得て、より強く輝く星の原石なのかもしれない」
ひとりでは、存分に輝けない星。互いに照らし合うことで、より強い光を放つ星。
社長は、彼らはそんな星なのではないかと思っているのだ。
「だから、私はあなた達にこうしてグループを組むように言っているの。これが最後のチャンスだと思って」
「最後の……?」
「つまり、これで失敗したらこれ以上はオレ達をアイドルとして売り込む気はないってこと?」
「そう思ってくれていいわ」
「……っ」
その内容に、アールが息を飲む。断ることなど出来ないということが、良くわかったのだろう。そして、このアイディアを受け入れ成功する以外で、アイドルとして成功する術がないということも。
「グループ名は、MARGINAL#4(マージナルナンバーフォー)。デビューライブは、ユニバースFESよ。そこで、あなた達はお客さんたちの前で華々しくデビューするの」
「マージナル……、#4?」
「ええ。MARGINAL#4、よ」
すでに社長は彼らのグループ名や、デビューとなる場所まで考えているらしい。
ますます断れない状況だ。社長は十分に追い込む準備をした上で、この話を彼らに持ってきているのだ。
「ねえ、片岡さん」
「は、はい!」
ほとんど傍観者のようになっていたところで、私は社長に名前を呼ばれた。びくっと背筋を伸ばして、改めて社長に向き直る。
「あなたは……、引き受けてくれる? 彼らのマネージャーを」
「私、が……?」
驚く話ばかりで忘れていたが、一番最初に社長は私のことを、彼らを担当するマネージャーとして紹介していた。この私が、彼らをこれから育てていくのだ。
(この個性豊かな4人を、私が)
この場に集まった、4人の個性豊かなアイドル達を改めて眺める。気が強く、自信家なところはあるが確かな才能を感じさせるアトムくん。なんでも卒なくこなすのに、何故か人の心に残らないルイくん。人懐こく、人目を惹く華を持ちながらも癖の強いエルくん。おとなしく、弟の影に隠れがちのアールくん。
(この4人と、私が……)
「私、やります」
社長にはっきりと言った。
彼らは、強い光をその内側に秘めた原石だ。それは、社長も認めている。その原石を輝かせる協力が私に出来るのなら……、それは素晴らしいことだと思ったのだ。
「ふふ、なら決まりね。今日からあなたたちにはMARGINAL#4よ。ユニバースFESの詳細はまた後ほど知らせるから、これからしばらくはFESに向けての準備を中心に活動していくことになるわ」
「ユニバースFES……」
「まずはそのFESで十分に人を集めることが出来るかどうかが課題ね」
(そう……、だよね。いくらFESでデビューだからっていって、そのお披露目の会場にお客さんがいないんじゃ困るもの)
それまでにしっかりと前宣伝をして、お客さん達に彼らのことを好きになって貰わなければ。
「えっと、何か活動にコンセプトとかって決まってるんですか?」
アイドルには、売り文句になるようなコンセプトが必要だ。キャッチーで、お客さんの心に残るようなコンセプトが。
「それももちろん考えてあるわ。ずばり……“銀河の果てまでKISSを届けるアイドル”!」
「き、キス!?」
「流星を降らせるなんて奇跡を起こすには、それぐらいじゃなきゃ!」
(c)2013 Rejet