こないだ久しぶりにケミカルブラザーズの昔のアルバムなんかを聞いたのですが、こんな音が入っていたんだと初めて気づく音がいくつかありました。
このCDを買ったときはまだ学生で安くて小さいスピーカーでしか聞いていたので気づかなかったのですが、HS-50Mで聞いてみると低音のゴツゴツしたアタックがこんなに鳴ってたんだーと発見がいろいろと。
せっかくいい曲を買ってたのにスピーカーが悪いせいで魅力が半減してしまっていたのです。
やっぱり安物のスピーカーだと元データの持っている情報が失われてしまうんだな、リスニング環境ってある程度しっかりしていないと損するよなと思うと同時に、これって人と人とのコミュニケーションでも同じじゃないかと思いました。
音をデジタルで伝えようとするとき、情報の損失が起きるのは大きく分けて2つのポイントです。
ひとつは録音するとき。
マイクが悪いと音を正確に録音できないため高音が入らなかったりノイズが入ってしまいます。
もうひとつは再生するとき。
たとえ完璧なマイクで録音できたとしてもスピーカーが悪いと低音が出なかったり音色によっては音自体が埋もれてしまいます。
なぜこのポイントで情報が損失されるかというと、アナログとデジタルを切り替えているからなんです。
もともと空気の振動というアナログな情報である音を01のデジタルビットに変換する際にA/Dコンバーターという機器を通過するのですが、アナログは無限のサンプリングレートを持つので、容量が有限のデジタルデータに落とし込むときにどうしても情報が失われてしまうんですよね。
D/Aコンバーターでは逆に余計な情報が付加される可能性もあります。
これって人と人とのコミュニケーションも同じで、私たちはテレパシーで意思疎通をすることができないため、何かを伝えたいときには文字や言葉にします。
意思というアナログなデータを言語というデジタルデータに変換する。
そのときに情報が失われます。
そして言葉や文字というデジタルデータを受け取ってもうまく復元して意図を読み取ることができるとは限らないんだと思います。
私はコミュニケーション能力とは自分の意思を伝えるときと他人の意図を汲み取るときの情報損失を抑える能力だと考えています。
就職活動でコミュ力という言葉が独り歩きしてきて、集団生活の中で軋轢なくすごす能力や意見が対立した時に自分の考えを押し通すための力もコミュニケーション能力に含まれている感がありますが、私はこの伝える力と汲み取る力が基本なんじゃないかと思っているのです。
言い換えると、誤解を生まない能力とも言えるかもしれません。
「社会生活ではコミュ力が必要!」と言われると、なんだか飲み会で上司にゴマをすったり会議で偉い人の顔色をうかがったりしなきゃいけないような感じもして、自分の気持ちに嘘をついてまでそんな力を身につける必要あるのかとも思うかもしれません。
しかし、コミュニケーション能力を情報の損失を抑えて誤解を生まない能力と考えるとどうでしょうか。
本当の意味でのコミュニケーション能力を身につけることができれば、いままで聞こえなかった声や見えなかった意図が見えてくるかもしれません。
わかりやすく説明する練習をしよう。 伝え方を鍛える コミュニケーションを深める
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