維新:出直し大阪市長選にらみ反橋下氏の3党排除など訴え
毎日新聞 2014年02月27日 21時05分(最終更新 02月27日 22時47分)
大阪市の橋下徹前市長(大阪維新の会代表)の辞職に伴う出直し市長選(3月9日告示、23日投開票)に向け、橋下氏を公認する維新は27日、事実上の選挙公約を発表した。大阪府・市を再編する大阪都構想の是非を問う住民投票実施など、従来の主張を明記した。しかし、選挙後も構想の実現の道筋は見えず、展望なき戦いが続いている。
公約は「最終判断は住民投票だ」として、構想の制度設計をする法定協議会を今夏には終え、設計図(協定書)を住民に示すとしている。法定協は「正常化」するとし、構想反対派の自民、民主、共産の3党を強く批判した。橋下氏は再選されれば法定協から3党を排除して主導権を握り、大阪市を分割する特別区の区割り案について、現在の4案を1案に絞り込み、議論を加速させる構えだ。
ただ、公約に明記した住民投票を実施するには、府・市両議会の議決が必要。いずれも単独過半数をもたない維新は、依然として公明党に期待する。公約で批判を避け、維新幹事長の松井一郎府知事も「公明は構想そのものに反対したわけじゃない」と語っている。
秋波を送る一方で橋下氏は、自らが提案した都構想議論の加速に反対した公明を、激しく批判してきた。支持母体の創価学会を念頭に「宗教の前に人の道があるのではないか」とも発言、公明は「あそこまで言われてすり寄ったら、支持者から何と言われるか分からない」(関係者)と態度を硬化させている。橋下氏らの言動に一貫性は乏しい。
こうした状況で、出直し選は当面の対策にとどまる。維新が少数派の法定協から3党を排除して多数を握り、協定書の取りまとめまでこぎ着けられるか否かの戦いといえる。出直し選での「民意」を排除の大義名分にする戦略だが、有力対抗馬不在の選挙で当選したとしても、他党への圧力になるかは不透明だ。
「設計図ができれば、住民投票はほぼ勝てます」。橋下氏は市長退職直前の26日、報道陣にこう強調して市役所を去った。しかし、その勝負に持ち込む展望は、まだ開けていない。【村上尊一】