橋下大阪市長:退職、投開票3月23日…都構想の行方は?

毎日新聞 2014年02月27日 22時10分(最終更新 02月27日 23時15分)

橋下氏が描く大阪都構想実現の道筋とハードル
橋下氏が描く大阪都構想実現の道筋とハードル

 大阪市の橋下徹市長は27日付で退職した。出直し市長選(3月9日告示、23日投開票)で、主要政党は候補者擁立を見送り、中央政界では橋下氏から距離を取る姿勢が目立つ。橋下氏は選挙の勝利で、行き詰まった大阪都構想の打開を図るが、実現の見通しは立たないままだ。

 市長選については与党側は「大義がない」(自民党幹部)として、事実上無視する態度だ。対抗馬を立てて橋下氏の設定した土俵に乗るよりは、橋下氏の独り相撲に追い込み、やり過ごしたほうが得策と見ている。

 自民党は安倍晋三首相が目指す改憲の協力勢力として橋下氏ら維新と一定の関係を保ってきた。しかし追い込まれた形で市長選に踏み切った橋下氏に対し、求心力が急速に低下しているとの見方が広がる。党関係者は27日、「橋下氏の利用価値はなくなりつつある」と語った。

 一昨年の衆院選では関西で選挙協力を行った公明党とも今回は対立が明確になったことも中央政界での橋下氏の存在感低下に拍車をかけている。橋下氏は次期衆院選での対抗馬擁立をちらつかせて挑発するが、山口那津男代表は26日、橋下氏に対し「急がば回れという取り組み方があったのではないか」とけん制した。

 党再建の見通しが立たない民主党は市長選に関わる余力がなく、橋下氏をやり過ごす与党の作戦に便乗している。大畠章宏幹事長は27日の記者会見で「市長選をなぜ行わなければならないのか理解できない」と強調した。

 維新の松野頼久国会議員団幹事長は27日の記者会見で市長選について「全力でバックアップをしていく」と強調した。ただ、橋下氏に近い大阪系と石原慎太郎共同代表ら旧太陽の党系では温度差がある。

 太陽系議員は「市長選で国会議員がお願いに行っても意味がない」と消極姿勢を隠さない。大阪系の若手議員は「都構想のことを分かっていない議員が来ても仕方ない」と突き放す。そもそも石原氏は市長選について「(市議会の)勢力分布は変わらないから、結果は同じではないか」と疑問を呈している。市長選への対応を通じて太陽系と大阪系の亀裂が深まる可能性もある。【高本耕太、阿部亮介】

最新写真特集