February 28, 2014
ハワイ沖のサンゴ礁に生息する複数のサメのヒレにビデオカメラを装着し、サメの1日の行動を追うという調査が進められている。そこから、新たな事実が見えてきた。
メジロザメが海底約90メートルで朝を迎える様子が、1台のカメラに映し出されていた。その後、サメは時間
の経過と共に徐々に上昇していき、メジロザメ、ツマグロ、アカシュモクザメからなる混成群に合流した。
「ごちゃ混ぜの一団がらせんを描きながら上昇していく様子は、まるでサメの竜巻のようだった」と話すのは、
オアフ島のカネオヘにあるハワイ大学でサメの研究をしているカール・マイヤー(Carl Meyer)氏だ。
別のビデオは、サンゴ礁を悠々と回遊するメジロザメの姿をとらえている。次の瞬間、サメはすばやく身を翻
し、メスのメジロザメのもとへ猛スピードで・・・
メジロザメが海底約90メートルで朝を迎える様子が、1台のカメラに映し出されていた。その後、サメは時間
の経過と共に徐々に上昇していき、メジロザメ、ツマグロ、アカシュモクザメからなる混成群に合流した。
「ごちゃ混ぜの一団がらせんを描きながら上昇していく様子は、まるでサメの竜巻のようだった」と話すのは、
オアフ島のカネオヘにあるハワイ大学でサメの研究をしているカール・マイヤー(Carl Meyer)氏だ。
別のビデオは、サンゴ礁を悠々と回遊するメジロザメの姿をとらえている。次の瞬間、サメはすばやく身を翻
し、メスのメジロザメのもとへ猛スピードで泳ぎ去った。
サメの行動追跡調査は今に始まったことではない。何年も前から、衛星タグを使った調査が行われている。し
かし、このやり方では粗い画質のデータしか得ることができなかった。
「例えて言えば、宇宙から地球を見て、青と緑だというのが分かるといった程度だ」とマイヤー氏は説明する。
マイヤー氏と東京大学大気海洋研究所の佐藤克文教授がハワイ沖のサメに装着した新しい装置パッケージは、
十分な精度を持ち、サメの泳ぐ姿を再現した3Dモデルを作成することもできるという。
この技術を使えば、サメがどのように水中を泳ぎ回り、その際どのくらいのエネルギーを消費するのかについ
て、科学者たちが長年温め続けてきた仮説を試すことが可能だ。
「これまで見ることのできなかった行動が明らかになってきている」とマイヤー氏は話す。
◆深海を目指す
加速度計と磁力計という2つの装置が水中でのサメの詳細な位置を記録し、サメの加速度と周囲の磁場を計測
する。さらに、別の装置が水深と温度を測定する。
マイヤー氏は「まるでサメにフライトレコーダーを着けているようだ」と話す。「一部のサメにビデオカメラ
を装着することで、これらの装置のデータを解析しやすくなる」。
サメが集まって群泳していたのは、イタチザメの攻撃から身を守るためではないかとマイヤー氏は考えてい
る。マイヤー氏によると、ハワイ沖に生息するイタチザメの餌は、ほぼ半分が他のサメ類で占められているとい
う。
イタチザメはこの海域で一般に見られるサメのなかで最も大きく(体長3.6メートルに達するものも少なくな
い)、メジロザメ、ツマグロ、アカシュモクザメなどの小型のサメは餌食にならないように対策をとらなければ
ならない。
現在、マイヤー氏らのチームは浅瀬のサメに装着していた装置パッケージを回収し、データの解析を進めてい
る。また、カグラザメなど深海ザメへの装置の装着も始まっている。これらのサメは、ほとんど解明の進んでい
ない未知の世界に生息している。
「この数十年で、サメの行動範囲の解明は大きく進んだ」とマイヤー氏は言う。「今後は、それらの海洋環境で
サメが何をしているのかについて理解を深めていく必要がある」。
Image captured from video by University of Hawaii/University of Tokyo/National Geographic