February 28, 2014
極循環で調子が狂っているのは人間だけではないようだ。この冬の米国の骨の随まで冷える大寒波で、 多くの生物が脅威に曝されている。
寒さが原因で米国に生息するアジア原産のカメムシが大量に死んでいることが、新しい実験の結果、明らかに
なった。一般にクサギカメムシ(学名:Halyomorpha halys)と呼ばれるこの外来種の害虫は、長い間、米国の
38の州で家屋や農作物に被害を及ぼして来た。
バージニア工科大学昆虫学教授、トーマス・カハール(Thomas Kuhar)氏の研究チームは、過去三年間、バー
ジニア州ブラックスバーグにある同大のキャンパス近くでカメムシを採集し、実験を続けて来た。カメムシは気
温が下がると壁や屋根板、屋根裏などに入り込むが、それらの場所を模倣した断熱容器を屋外に設・・・
寒さが原因で米国に生息するアジア原産のカメムシが大量に死んでいることが、新しい実験の結果、明らかに
なった。一般にクサギカメムシ(学名:Halyomorpha halys)と呼ばれるこの外来種の害虫は、長い間、米国の
38の州で家屋や農作物に被害を及ぼして来た。
バージニア工科大学昆虫学教授、トーマス・カハール(Thomas Kuhar)氏の研究チームは、過去三年間、バー
ジニア州ブラックスバーグにある同大のキャンパス近くでカメムシを採集し、実験を続けて来た。カメムシは気
温が下がると壁や屋根板、屋根裏などに入り込むが、それらの場所を模倣した断熱容器を屋外に設置し、その中
でカメムシを飼育している。
通常は問題のない飼育環境だが、今年は飼育しているカメムシがバタバタと死んでいるという。
「過去2年間、自然に死ぬのは平均で全体の20~25%程度だった」と、カハール氏は述べる。しかし、2014年1月
に研究チームは、氷点下の気温で95%が死んでいるのを観察した。
同氏の説明によると、通常、カメムシは2つの方法で寒い季節に対処する。まず、壁や屋根裏などに隠れ、そ
れから抗凍結剤のように働く物質を体内で活性化させる。
カメムシはもっと寒い地域にも適応しているが、今年のような極端な低温下では、自然の防御メカニズムは十
分でないらしい。
◆スーパーカメムシは現れない
例年にないこの冬の寒波がどれほどの影響をカメムシの集団全体に及ぼしたのか、明らかになるのはこれから
だ。
「絶滅の危機とまではいかにが、多くの個体が死に至る気温のようだ」とカハール氏は語る。昆虫の集団にとっ
ては、暖かくなりかけた後に急激にまた寒くなるなど、気温が大きく変動することが一番危険であるという。
しかし、この寒さを生き延びたカメムシの個体が繁殖し、寒さに強いスーパーカメムシが出現するのではと心
配するには及ばない。
このような気候イベントが原因でスーパーバグが現れることはない。むしろ、極端な天候で昆虫の活動が制限
され、種が通常の範囲に留まる可能性が高いと同氏は説明する。
「自然淘汰は何世紀もの間、繰り返されて来た。カメムシはこのような気候イベントが起こる中で現在の生息範
囲に落ち着いている。言うなれば、気候帯のボーダーライン地域で気温が非常に低くなることで、種の分布が一
定に保たれているのかもしれない」。
雪に埋まった車を掘り出しながら天を罵っても、冬は去ってくれない。カメムシの身の上にも思いを寄せてみ
よう。彼らはもっと辛いのだ。
Photograph by Vishall Kaistha, Your Shot