大阪市長選:橋下氏 相手の見えない戦い 異例の前哨戦

毎日新聞 2014年02月27日 15時00分(最終更新 02月27日 15時40分)

タウンミーティングで大阪都構想の利点を強調する橋下徹氏(左奥)=大阪市都島区で2014年2月23日午後5時25分、茶谷亮撮影
タウンミーティングで大阪都構想の利点を強調する橋下徹氏(左奥)=大阪市都島区で2014年2月23日午後5時25分、茶谷亮撮影

 ◇「黙殺」で足並みそろえた野党も有権者への説明に追われ

 27日付で大阪市長を退職した橋下徹・大阪維新の会代表は、出直し市長選(3月9日告示、23日投開票)に向けた準備を本格化する。大阪都構想を巡る議論の加速を図るが、主要野党が対抗馬を立てないため、相手の見えない戦いを余儀なくされている。一方、「黙殺」で足並みをそろえた野党は、街頭演説会やビラ配布で有権者への説明にも追われる。異例の選挙の前哨戦がスタートした。

 「候補者を出さないなら政党なんていらない」。橋下氏は退職直前の26日夕、報道陣の前で、野党に対するいら立ちをあらわにした。選挙に向け維新が市内各地で開くタウンミーティングでは都構想の意義を強調する一方、「僕らが説明しても限界がある」(23日、都島区)と、自らの行動に理解が広がらないことに弱気ものぞかせる。

 26日の立候補予定者説明会には、1970年代以降で最多だった2005年と並ぶ13陣営が出席したが、主要野党の姿はなかった。対抗馬を立てない野党に対しても、疑問の声は根強い。22、23日に実施した毎日新聞とMBSの世論調査では、擁立すべきだとの意見が52%だった。

 こうしたことから、民主は「理由を有権者に説明する義務がある」(府議)として、今月上旬から市内で街頭宣伝活動を重ねている。告示日までに各地でビラも配り、有権者に理解を求める。

 公明は「新年度予算案審議に空白期間を生むのは無責任だ。選挙には6億円もの税金がかかり、大義がない」などと、支持者説明用の4項目の見解を府本部がまとめた。府内の地方議員に伝えて浸透を図る。

 共産は27日夕、市役所近くで街頭演説をして都構想反対を訴える。関連団体も「選挙の道理のなさ」を訴えるチラシを市内で120万枚配っているという。共産市議は「しっかり情報を伝えて、選挙に行くかどうかは有権者が決めること」と話す。

 自民は、告示日前に市内の繁華街で街頭演説を予定している。ただ「こうした活動自体が相手の土俵に乗って選挙を盛り上げることになる」(市議)との声もあり、手探り状態が続いている。【山下貴史、林由紀子、茶谷亮、深尾昭寛】

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