富士山に魅せられた人
2001年02月23日(金) 放送

早朝の羽山から富士山を狙う阿部さん。
今回は富士山に魅せられて、最も北寄りにある山から執念で富士山の撮影に成功した阿部さんの話題をお伝えしました。阿部さんが撮影したのは、標高897mの羽山(麓山=はやま)。冬山を登って11回目に千載一遇のチャンスをつかんだと言います。去年12月30日午前7時55分、20世紀が終わる直前でした。 「いやぁ、20世紀の内にとれて良かった。あと2日しかなかったから。」 その瞬間は、山頂で双眼鏡を覗きながら待っていた時にふいに訪れました。 「突然、白くぱっと(富士山が)見えたんですよ。もう最高でした。」

岩代町の「富士山」グッズ。広報パンフレット、絵葉書、名刺、テレホンカード、カレンダー等…いかに町が喜んだかが伝わってくる。
富士山が見える北限は、福島県になります。実は、去年も別の山から富士山撮影に成功した話題をお伝えしました。その山は標高1057mの日山(ひやま)。羽山とは殆ど離れていません。ただ、どちらが最も北なのか、ちょっと迷ってしまいそうな位置関係なのです。 阿部さんが撮影した羽山は北緯37度33分35秒、日山は37度32分23秒にあり、位置は羽山の方が日山より2km北にあります。「じゃ羽山が北限だ!」と簡単に言えれば良いのですが、そうもいきません。 富士山からの直線距離を比較すると、羽山が297.342km、日山が298.969kmと、何と日山の方が遠く離れているのです。 しかも富士山の撮影に成功したのが日山の方が先だったので、日山のある地元岩代町(いわしろまち)は盛り上がりました。役場が日山山頂からの富士山の写真をカレンダー、パネル、町の広報、名刺、テレホンカード、絵葉書にするなど富士山グッズが溢れたのです。 一方、羽山のある東和町(とうわまち)では、グッズの出る動きがありません。 「富士山がもう少し鮮明に映っていれば、喜んで予算を組んでグッズを出すのですが…。」 というのが町の回答でした。

日没近くにカメラを構える阿部さんとスタッフ。日が傾き急に寒くなる中、目をこらす。
阿部さんはこの回答を待つまでもなく、富士山を撮った写真には満足と不満が入り混じっていました。満足は勿論、世界で初めて羽山から富士山の撮影に成功した点。不満は、富士山が今一歩はっきり映っていない事です。 阿部さんは写真の認定式の前に、再度撮影に挑戦するという事で、我々も同行する事にしました。あわよくば初のテレビ撮影成功という事もあり得ます。時は2月17日。静岡から福島まで晴れの予報の日でした。まずは撮影に成功した午前8時前を目指して登りました。雪道を登る事1時間半、羽山山頂に到着。しかし…ちょうどその方向には雲と霞みがあり、富士山は見えず。一度下山して夕方、再度登る事にしました。夕方は周囲の山が陰る中、標高の高い富士山だけが夕日を浴びる為、浮かび上がるように見えやすくなるのです。

この方向に富士山が見える筈だった。でも360度のパノラマは素晴らしい。
再び、日没の午後5時20分を目指して登山。山頂は冷たい風が吹きますが、朝あった霞みは無く視界は悪くありません。日が暮れて気温が一気に下がってきます。さあ、富士山は山並みの向こうに浮かび上がるか…。 残念ながら、富士山と羽山の間のどこかに雲がかかっているのでしょう、富士山は姿を最後まで見せませんでした。そりゃ、阿部さんが11回登って初めて見られた富士山ですから、我々がたった2回で見られると考える方が甘いですよね。でも阿部さんはこうおっしゃっていました。 「天気次第だから仕方が無い。また来ますよ。」

岩代町役場には富士山の看板が…。「北限」と言う岩代町に対し、東和町の対応は…。
羽山と日山、富士山が見える最北の山が2つ。羽山からは富士山の頭が100m程見えます。僅か100mですが、それでも富士山が見えるという事に何だか嬉しくどきどきします。富士山がそれだけ日本人の心をとらえてやまない山だからでしょう。 因みに羽山のある東和町、日山のある岩代町、ともに「お互い、富士山が見えて良かったですね。」と連絡を取り合う仲で、競い合うという感じは全くありません。ただ実際問題、岩代町は「日山の方が富士山からの距離が遠いので、日山が北限の山でしょう。」とおっしゃっています。その点を東和町に尋ねてみたら、こう答が返ってきました。 「羽山は富士山の見える北『端』の山という事で、どうでしょうかねぇ。」 お見事!羽山は富士山の見える北端の山に違いありません。
日本人を惹き付けてやまない山、「富士山」
2001年02月21日(水) 放送

山頂からの景色。この奥に富士山が見えるという。
★23日(金)「富士に魅せられた人たち」(放送は8:00頃の予定です)
2月23日は富士山(2=ふ・2=じ・3=さん)の日という事で、富士山の魅力は勿論ですが、富士山に魅せられた方々の話題やドラマを御紹介します。 福島からは、まだ誰も成功していなかった富士山の撮影に成功した人の話題です。その富士山の撮影は、福島県のある山から行われました。その山は、富士山が見える最も北緯の高い山なのです。

山頂からの撮影に同行。雪のせいか、山頂手前の鳥居に手が届く。
福島県までにそびえる数々の山をすりぬけるように頭を出す、日本一高い富士の山。それはコンピュータの計算でも見える事が実証されていますが、いかんせん気象条件が整わなければ見えません。雲が、いや霞みがかかっても、富士山は姿を現わさないのです。その千載一遇のチャンスをつかんだ方が福島県にいます。その方の想いや話題をお伝えするほか、「もう一度撮影に行く」という事で我々も同行しました。果たして、結果は??
ズームイン!!朝!らしく各地をネットして、陸から、山上から、空中から、いろいろな角度から富士山の表情をとらえます。お楽しみに。
では、金曜日にお会いしましょう。
色々な料理に使えます「じゅうねん味噌」
2001年02月19日(月) 放送

食べ方その1「麺のつけだれ」。さっぱり頂ける。
今回は、地域限定の調味料という事で「じゅうねん味噌」をお伝えしました。 じゅうねんとは「エゴマ」の事で、シソ科の植物です。粒状なのはゴマにも似ていますが、ゴマはゴマ科の植物なので、別物なんですね。因みにゴマには「うごま」という呼び方をした事もあるようですから「エゴマ」に「うごま」、ますます似ている気がします。エゴマはアルファリノレン酸が多く含まれ、体の免疫力を高めるなどの効果があると言われて注目されています。 「じゅうねん味噌」は炒ったエゴマをすりつぶし、それに味噌・醤油・砂糖・みりん等を練り合わせたもの。香りが香ばしく、味噌にバターを加えたようなコクがあるのが「じゅうねん味噌」の特徴です。炒ったじゅうねんだけだと味にちょっとクセがあるのですが、じゅうねん味噌にするとそのクセが味噌にマッチするのですから、相性が良いのでしょうね。

「じゅうねん会」の皆さん。中央が会長の佐久間さん。
福島だと、会津の古くからの郷土料理「しんごろう」につける味噌として有名ですが、今回御紹介したのは会津ではなく、福島市にほど近い東和町(とうわまち)で作られた「じゅうねん味噌」です。作っているのは地元の女性(おふくろさん、と言っても良いでしょう)で構成される、その名も「じゅうねん会」です。 東和町でも伝統的に食べていたじゅうねん味噌を、いっそのこと東和町ブランドの産品として確立してみてはどうか?しかも使いやすい形に出来たら、じゅうねん味噌を作る手間が省けて地元の人にも買ってもらえるのではないか?こう考えて、13年前に佐久間さんが地元の女性を募り、たった5人で「じゅうねん会」を発足しました。 手軽に使えるようにと、最初は袋詰だったものを、今の、脇を押すと中身が出てくる便利な容器詰(よく蜂蜜が入った容器、あれです)に変えました。でもこれが大変だったそうです。 「じゅうねんは油分が多いので、固まりやすいんですよ。最初は中身が出てこなくって…。」 材料のバランスに苦心したようです。納得のいくものが出来たのは、会発足から7年後の事でした。

食べ方その2。マヨネーズと和えたじゅうねん味噌が、コロッケのソースに。
じゅうねん味噌の特徴の一つは、やはり「いろいろな料理に使える事」でしょう。番組でも紹介しましたが、和え物に良し冷奴に良し餅に良し。更に水やダシ、ダシ割醤油で割れば、サラダのドレッシング代わりにしたり、つけ麺のつけだれに使ったりしても合います。びっくりしたのはコロッケのソース。じゅうねん会が作ったのはマヨネーズとじゅうねん味噌を和えて、マッシュルームを加えたものです。今紹介した食べ方は全て試しましたが、どれもグーでした。

中継でお世話になった大野さん。「インゲンとじゅうねん味噌」がお薦めとか。
中継でお邪魔した大野さんのお宅も、月に数度わざわざ自家製のじゅうねん味噌を作ります。大野さんのお薦めは「凍み餅(一度寒中で干した餅)か、和え物ならニンジンもお薦めだけど、断然おいしいのはインゲン」だそうです。確かにインゲンも凄くおいしそう。ああ、またお腹が空いてきた…。

じゅうねん会のじゅうねん味噌。(小)400円(大)700円。脇を押すと必要な分だけ出てくる。
「じゅうねん味噌作りは半分趣味です。」という佐久間さんですが、じゅうねん味噌に対してこだわりがあります。 「材料のじゅうねんは自分達の畑で作ったもの。それに(味噌や醤油といった)必要なもの以外に添加物は一切加えていません。」 また一度にたくさんは作らないのだそうです。 「本当はね、じゅうねん味噌って作りたてが一番おいしいの。時間が経つとどうしても香りがとんじゃうから、出来るだけ作りがけ(=作りたて)を食べて欲しいんですよ。お客さんには、次に作る時まで少しなら待ってもらっちゃう時もあるんです。」 じゅうねん味噌の本当の味と香りを楽しんで欲しい、そんなじゅうねん会の愛情と情熱を感じました。 因みにじゅうねん会のじゅうねん味噌は、東和町にある「あぶくま館」で販売されています。大瓶が700円小瓶が400円(税込み)、冷蔵庫で保管して製造から2か月が賞味の目安だそうです。 更に詳しく知りたい方は電話で あぶくま館 (0243)46−2113 まで問い合わせてみて下さい。
全国各地の知られざる(?)調味料…
2001年02月16日(金) 放送
★19日(月)「地域限定!びっくりユニーク調味料」(放送は8:00頃の予定です)
料理の基本は「さしすせそ」(さ…砂糖 し…塩 す…酢 せ…醤油(せうゆ) そ…味噌)なんて言いますが、調味料の按配が料理の明暗(?)を分ける事が無きにしもあらず。調味料一つで味わいが変わります。 地元ではよく知られ、また使われているものの、全国区ではない調味料を御紹介します。 福島からは、「じゅうねん」を使った調味料です。じゅうねんと言うと、福島の人は「ああ、あれね。」と思い浮かぶのですが、皆さんは如何ですか。しかし会津の「しんごろう」(ある食べ物の名前です)等で使われるのとは、イメージがちょっと違っていたのです。 和え物は勿論、麺類からコロッケのソースにまで応用される、じゅうねんを使った調味料を御紹介します。
では月曜日にお会いしましょう。
感謝の気持ちを忘れない「ありがたい」さん
2001年02月13日(火) 放送

中継前も仕事をする有賀たいさん。
今回(2月13日)は、珍しいお名前の方を御紹介しました。福島からは、「有賀(ありが)たい」さんにご登場頂きました。本当にこういうお名前の方がいらっしゃるんですねぇ。世の中は広いものです。 たいさんは、高校時代のお友達に「あなたの名前は『たい』だから、有賀さんという苗字の人とは結婚しない方が良いんじゃないの?結婚すると名前が『ありがたい』になっちゃうものね。」なんて言われていたそうです。しかし後にご主人となる良雄さんは知人から、高校生に『たい』さんという名前の女性がいる事をたまたま聞いて知っていたそうで、父親にも「そういう名前の女性と縁があったらこれ以上素晴らしい事はない。」と言われていたそうです。その後、本当に出会うとは…。運命と言うか、ご縁があったのでしょうね。

かつて使っていた名刺。「たい子」さんになっている。
ご本人は結婚前こそ「名前が『ありがたい』になるのは殆ど気にならなかった。」と仰いますが、一時は『ありがたい』では恥ずかしいと、後ろに「子」をつけて自己紹介をしていました。一方、郵便局にお勤めのご主人は大いに奥様の名前を「利用」していました。

ご主人の名刺の裏側(読みにくくて済みません)。PRと言いながら、奥様への愛情の証では…。
「自己紹介の時に、『妻の名前はありがたいって言うんです』って言うと、皆さん必ず『有賀』という苗字を覚えて下さいますね。」 そして名刺の裏にも「わが女房 あ・り・が・た・い」と印刷するなどして、奥様とセットで自己PRをしていらしたようです。万事この調子で、普段も明るく面白いご主人でした。そうそう、実は中継後にわざわざお電話を頂いたのですが、第一声はこうでした。 「あ、私、有賀たいの夫でございます。」

子供達に囲まれて。感謝の毎日だそうです。
有賀たいさんは現在地元の保育所の所長として、子供達に囲まれて働いていらっしゃいます。 「良い先生、良い子供達に恵まれて、毎日『ありがたい』と思って暮らしています。」 と、お名前の通り感謝の気持ちを忘れない有賀さん。因みに結婚なさって今年が30周年だそうで、お子様は普通のお名前だという事です。
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