練習前に闘莉王(右)と話す大武=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(宮崎厚志撮影)
|
 |
名古屋グランパスの特別指定選手となった福岡大3年のDF大武峻(21)が、Jリーグに新たな歴史を刻む。清水との開幕戦で先発出場すれば、1998年の制度開始以来、史上初となる特別指定選手の開幕スタメンとなる。26日に西野朗監督(58)が開幕戦での起用を示唆した逸材は、自他ともに認める強心臓で、歴史的な抜てきに応える。
規格外の大型DFが、異例ずくめのJデビューを迎える。25日に日本サッカー協会からグランパスの特別指定選手として承認され、正式に公式戦出場が可能になった大武。過去16年間でのべ254人が登録されているが、開幕スタメンを飾ればJ1、J2含めて史上初となる。途中出場でも08年にJ2鳥栖で後半23分から出場したMF長谷川博一(広島経済大)以来2人目、J1では初だ。
「そんなに気負うこともなく、いつも通りです。(記録は)意識はしないけど、初めてってなったら注目されると思う。変なプレーはできない」。27日の非公開練習後、大武は間近に迫った開幕と史上初の快挙について、落ち着いた表情で語った。
ただの練習生だったタイキャンプ中から一貫して主力組でプレー。26日には西野監督が「早めに力を引き出していく。そのタイミングが今。開幕に入れるという重圧の中でもプレーができるか」と開幕戦での起用を示唆した。背番号も特別指定選手としては極めて異例となるレギュラー番号の「2」。「そんなにこだわりはないけど、期待は感じるし、それに見合うプレーをしないと」と気持ちを引き締めた。
注目が集まるなかでのプロデビューとなるが、「もともと緊張しない。大舞台のほうがやる気が出るタイプ」と言い切る。15日のトヨタ・プレミアカップでもタイ王者相手にゴールを決め、PK戦でも5人目で決めた。西野監督も「アウェーの大観衆にも全然動じていなかった」とメンタルの強さを激賞。年に1度、誰もが緊張する開幕戦で、大器が華々しくベールを脱ぐ。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する