週2回「肉の日」をつくろう。おいしく肉を食べて健康になるための7ヵ条
賛否両論に、はっきり分かれそうではあります。それに、そもそもこの記事を読んでくださっている方の大半は、50歳までにはまだまだ時間があるでしょう。しかし肯定するにせよしないにせよ、トピックとして読む価値はあるなと感じたのが『50歳からは肉を食べなさい』(藤田紘一郎著、フォレスト出版)。以前ご紹介したことのある『絶好腸 ストレス、こころの不調を解消する腸の鍛え方』など、腸に関する多くの著作を持つ東京医科歯科大学名誉教授による最新刊です。
「肉は、カロリーもコレステロール値も高いので、生活習慣病の人は控えた方がよい」という医者の情報を信じることをやめ、「カロリー計算をしない」「コレステロールの値を気にしない」「野菜と肉を上手に食べ、主食は抜く」という3点を心がけた結果、著者自身が糖尿病をすっかり克服したのだとか。果たして、本当にそんなことがあるのでしょうか?
第4章「薬いらずの体になる! 『肉』を健康に活かす食べ方7カ条」を見てみましょう。
1.週に2回、「肉の日」を
思う存分肉を楽しむために、週に2回だけ「肉の日」をつくろうと著者は提案しています。ポイントは、味が濃くなりすぎないように焼き、素材の味を楽しみながら、ゆっくりと噛みしめて食べること。よく噛んで食べると、脳の刺激となって記憶力が高まり、認知症予防にもなるのだそうです。
そして「肉の日」以外の5日は、豆乳鍋など腸を思いやった食事がいいそうです。(148ページより)
2.肉はかならず野菜と一緒に
日本で大腸がんや乳がんが増加しているのは、肉の食べすぎが原因であるとのこと。ただしそれ以上に大きな問題は、野菜の摂取量が減っていることだと著者はいいます。事実、日本人の約1.2倍の野菜を食べるアメリカ人は、がんの死亡率も低くなっているそうです。
大腸菌などの悪玉菌は、食物繊維をエサにしていると異常繁殖しないもの。そして肉などの高脂肪食も、豊富な食物繊維と一緒にとれば、糞便中の悪玉菌とその毒素の量が減少するといいます。免疫力を落とさずにがんを防ぐためには、肉と野菜を一緒に食べることが重要だというわけです。(150ページより)
3.ガーリックで焼くと効果抜群
免疫を高めるために重要なのは赤、黄、緑、紫など色のついた野菜や果物、ニンニクやネギ、柑橘類など香りの強い食材、それからキノコ類。なかでも著者がおすすめしたいのはニンニクとキャベツだそうです。
理由は、がん予防効果の高い食品だから。ステーキをガーリックと一緒に焼くことには、がんを防ぐ効果もあるということです。(152ページより)
4.「肉→野菜→ご飯」の順番で
ステーキに合わせるべき野菜は、ブロッコリーやキノコ類、クレソン、パセリ、ナス、トマトなど、糖質が少なく、抗酸化作用の強い野菜。
どうしても主食や、あるいはジャガイモ、ニンジン、コーンなど糖質を含む野菜を食べたい場合は、「野菜」→「脂質を豊富に含む料理」→「糖質を豊富に含む料理」という順番で食べるといいそうです。なぜなら食物繊維を先に腸に入れておくと、次に肉など高脂肪の食品が入ってきても、脂質を過剰に吸収せずにすむから。(155ページより)
5.オリーブオイルの効果
ステーキを焼くときはオリーブオイルが最適。オリーブオイルには抗酸化成分であるポリフェノールやビタミンEが豊富に含まれているからだそうです。
ポリフェノールを日常的に摂取しておくと抗酸化作用が高まるので、動脈硬化や脳梗塞を予防でき、体内環境を整えるホルモン促進作用が向上するといいます。(157ページより)
6.長寿のための水
ステーキを食べる際、飲むのに適した水は、カルシウムやマグネシウムを豊富に含む硬水。特に中性脂肪や運搬コレステロール値(LDL)が高く、脳梗塞や心筋梗塞が心配される人は、硬水を飲むといいそうです。(160ページより)
7.食べるときは大好きな人と
人体の脂肪細胞には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」があり、適正値まで体重を落とすことが重要になってくる50歳以降は、褐色脂肪細胞を刺激して、脂肪を効率よく燃焼させるのが得策だそう。
そのためには褐色脂肪細胞を「快」という感覚刺激で刺激すべき。つまり「おいしい」「いい香り」「楽しい」「うれしい」などという感覚のなかで食事をすると、本来、その食品が持つ熱量以上に体温が上昇するということです。理由は、褐色脂肪細胞が刺激されて活性化し、脂肪を燃焼させているから。そのため、ステーキなどの高脂肪食をとるときには、なおのこと褐色脂肪細胞を刺激しながら食べるとよいといいます。(163ページより)
どこまで信じるべきかは、読んだ方の判断次第。しかし若い人にとっても、肉を食べたいときの説得材料になる可能性はあるのではないでしょうか?
(印南敦史)
- 50歳からは肉を食べ始めなさい
- 藤田紘一郎|フォレスト出版