伊方原発:反対派講演会場 町は「貸さない」教委「貸す」

毎日新聞 2014年02月28日 04時30分

 四国電力伊方原発のある愛媛県伊方町で脱原発団体が町施設の講演会使用を拒否された問題で、団体が別の会場で同じ講演会を企画し、所管の町教委に申請したところ、開催を認めたことが27日、関係者への取材で分かった。会場の町中央公民館は「町の条例などに照らし、拒否する理由は見当たらない」と理由を説明。一方、拒否した施設側は認めない姿勢を続けており、同じ講演会の開催を巡って、伊方町の判断が真っ二つに割れる、異例の展開になっている。

 企画したのは、地元農家ら約20人でつくる「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」。福島県双葉町の前町長、井戸川克隆さん(67)の講演会を、伊方町の指定管理交流宿泊施設「瀬戸アグリトピア」で今月16日に開くことを同施設に申請したところ、いったんは許可されたが、所管の町産業振興課から後日、「伊方原発3号機の再稼働の行方がはっきりするまで貸せない」と拒否された。

 有志の会は26日、同じ講演会の開催を、町中央公民館を所管する町教委に申し入れ、27日に電話で許可されたという。講演会は3月19日午後6時半から同公民館で開かれる。

 有志の会共同世話人の堀内美鈴さん(50)は「地元の人にこそ聞いてもらいたい講演会をやっと開くことができ、本当にうれしい」と歓迎。「伊方原発反対八西連絡協議会」事務局担当の近藤誠さん(66)も「町民の知る権利を奪ってはならないとの世論に押された結果だ。伊方原発3号機の再稼働を前に、地元でも原発について自由に論議できる出発点になる」と喜ぶ。

 一方、瀬戸アグリトピアを所管する町産業振興課は取材に対し、「原発関係の講演などは引き続き遠慮してもらう」と話し、拒否の姿勢を変えていない。【渕脇直樹】

最新写真特集