2014-02-27
劣等生クルーグマンのための経済学入門
経済 |
とでも言うべきエントリを少し前にStephen Williamsonが書いている。以下はその出だしの文章。
Paul Krugman is a very bad student. He doesn't pay attention in class, he refuses to read, and he complains constantly that he's not learning anything.
(拙訳)
ポール・クルーグマンは非常に出来の悪い生徒だ。彼は授業では注意散漫で、読むべきものを頑として読まず*1、それでいて自分は何も学んでいないといつも文句を垂れている。
このエントリでWilliamsonが槍玉に挙げたのは、RBCの理論家は直観的な説明を提供していない、と論じたクルーグマンの2/17エントリ。それに対しWilliamsonは、以下の図を提示している。
この図を用いたWilliamsonの「直観的な説明」は概ね以下の通り。
- 図では生産可能性フロンティアと代表的個人の無差別曲線が示されている。ここでは政府は捨象しているため、生産可能性フロンティアは単に消費と余暇の技術的なトレードオフを示している。すべての生産は消費されるため、消費と生産は等しい。
- モデルが機能するためには、賃金(=均衡における生産可能性フロンティアの傾きのマイナス値)に対する労働供給の弾力性が十分に大きくならなくてはならないことも示される――所得効果と代替効果を分解すると、TFPが減少すると余暇も減少し得ることが明らかとなる。
- 一方、中央銀行がTFPショックに対して何も対応せず、Wが固定されているならば、TFPショック後の均衡はBではなくDとなる。Dでは実質賃金はAと同じである。即ち、生産可能性フロンティアの傾きはAとDで等しい。従って、ニューケインジアンの世界では経済がショックを与えられた時に非効率性が生じ、厚生損失を図で確認することができる――代表的個人はDではBよりも低位の無差別曲線上にある。
- ニューケインジアンの世界では、中央銀行はPを上昇させることができる。もしくは、財政当局が雇用に補助を与え、それを一括税で賄うことができる。いずれの手段を用いるにせよ、適切な政策によってBに到達することができる。
なお、Williamsonが槍玉に挙げたエントリでクルーグマンは、ここでファーマー経由で紹介したマーシャル流の考え方――即ち、数学を離れて英語で描写すること――の重要性を強調しているので、このWilliamsonの説明はクルーグマンの問い掛けへの回答にはなっていないようにも思われる(ただしWilliamsonはエントリの最後で、数学抜きの言葉だけの説明が欲しければKartikの本を読め、とも書いている)。
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