京浜東北線脱線で“主犯”とされた作業員の会社が反論

2014/02/28

 JR川崎駅構内で2月23日に起こった京浜東北線の脱線事故で、工事用車両のオペレーターが作業時間を誤認して線路に入ったとする報道に対して、オペレーターが所属する専門工事会社は25日、ウェブサイト上に反論を掲載した。鉄道工事において工事用車両のオペレーターが、線路に入ってよいかどうかを単独で判断して入線することはあり得ないとしている。ただし、同社は「混乱を招く」として翌26日に掲載を取りやめた。

 専門工事会社は恵比寿機工(横浜市)で、鉄道工事での杭打ち工事などを専門としている。一部の報道機関は、オペレーターが神奈川県警の聴取に、「作業時間を間違えた」などと話していると報道。これに対して同社は、事実と異なり誤解を招くと批判した。

 同社は、工事用車両は重機安全指揮者である警備会社の指示を受けて入線することになっており、事故当日もこの手続きを踏んだことは「複数人の証言」によって明らかだと反論。そのうえで事故に対する遺憾の意を表明し、社内の安全衛生教育を一層強化して事故の再発防止に努めるとした。

■恵比寿機工がウェブサイトに公表した見解の要旨

【JR川崎駅改築工事での工事用車両などの入線ルール】
 (1)線路閉鎖責任者:元請け会社
 (2)現場管理者および工事管理者:元請け会社
 (3)重機安全指揮者:警備会社
 (4)工事用車両のオペレーター:恵比寿機工
(1)〜(4)の順に入線許可の連絡が下りてくることになっていた

・一部の報道は、(4)のオペレーターが「線路の閉鎖手続きを踏まずに勝手に軌道内へ進入した」「時間を間違えた」「入る線路を間違えた」などとしている
・しかし、下請け作業員である(4)が、(3)の指示を受けずに単独で工事用車両を入線させることは不可能
・(4)が(3)の指示を受けて線路に入ったことは複数人の証言で明らかだ

(恵比寿機工が公表した見解をもとに日経コンストラクションが作成)

 恵比寿機工はウェブサイト上でこの見解を25日の夕方に公表したが、26日の昼ごろに取りやめた。同社はその理由を、「国の運輸安全委員会による事故調査の進行中に公表を続ければ、混乱を招くと判断した」と説明している。運輸安全委や工事の元請け会社である鉄建・大林組JVなどから、見解の公表をやめるよう圧力が掛かったかどうかの問いに対しては、「無かった」と否定した。

京浜東北線の脱線事故の現場。2月23日撮影(写真:ケンプラッツ)
京浜東北線の脱線事故の現場。2月23日撮影(写真:ケンプラッツ)

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安藤 剛日経コンストラクション

読者のコメント (4 件)  ※[ログイン]すると全文表示、投稿・投票ができます

>JR総連の革マル派の仕業か?。こういう宣伝が流れ始めたのは、ここ数年ですね。かつて、JR西日本の福……

( 2014/02/28 10:30 )

このコメントが 参考になった: 2  参考にならなかった: 0

原因についての報道が推測で行われたのが問題。マスコミの対応が悪い。又、正式な原因発表が遅く当局の対応……

( hatayama.t 2014/02/28 10:05 )

このコメントが 参考になった: 5  参考にならなかった: 0

非常に考えられない事故です。工事会社の不注意で作業が出来る訳が無い。JR総連の革マル派の仕業か?。

( SkyTree 2014/02/28 10:02 )

このコメントが 参考になった: 2  参考にならなかった: 2

圧力を受けて掲載をやめたなら、圧力があったかという質問に「あった」と答えるわけがない。マスコミ取材に……

( 2014/02/28 08:23 )

このコメントが 参考になった: 17  参考にならなかった: 0

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