経済の死角

徹底討論「嫌韓」なぜ、日本人はそんなに韓国が嫌いなのか 声に出して言いにくい「日本の大問題」第3回 辛淑玉×小針進×安田浩一

2014年02月28日(金) 週刊現代
週刊現代
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朝鮮人を皆殺しにしろ—そんな汚い言葉を、一見「普通の人」が吐き出す時代。いまやブームとして定着した感のある「嫌韓」の実態と、ヘイトスピーチの現場を知る専門家が、議論を交わした。

根深い日本人の「差別意識」

安田 ここ数年、「日本では在日(韓国・朝鮮人)が特権を持っている」「在日が日本のマスコミを支配している」などの根拠のないデマがインターネット上で流され、また韓国を異常なまでにバッシングする「嫌韓」がブームのように広がっています。その拡大は目を覆うばかりです。「在特会」(在日特権を許さない市民の会)を中心にしたヘイトスピーチ(差別扇動表現)が、ネット上に溢れかえっています。

小針 '90年代後半からネットが普及したことと、日本における韓国の存在感が増したことで、ネット右翼いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる人たちの発言が目立つようになってきました。

辛 当初はネットの世界が中心だった「嫌韓」が、今では路上に出てくるようになっています。「チョン死ね」「ゴキブリ朝鮮人を叩き出せ」といった、聞くに堪えないヘイトスピーチや、朝鮮学校や韓国料理店に対する暴力的な嫌がらせが日常的に行われている。レイシズム(人種・民族差別)は、もはや一部の特殊な人たちの問題ではありません。

安田 「朝鮮人を虐殺しろ」—普通に考えれば、とても口に出せないような汚い言葉が、生身の人間に向けて飛ばされている。

辛 私が共同代表を務めているヘイトスピーチに反対する団体「のりこえねっと」には、立ち上げた途端に中傷メールやサイバー攻撃が殺到。サーバーの過負荷状態が発生しました。昨年1年間に全国で起きた差別デモは、分かっているだけで360件以上。毎週のように、日本各地で在日韓国・朝鮮人を標的にした差別デモや組織的な嫌がらせが起きています。

安田 最近のデモを見て思うのは、とにかく参加者が楽しそうなんですよ。引きつった顔で怒りの拳を振りあげているようなイメージは全然ない。

辛 上手にリズムをとりながら「殺せ、殺せ、朝鮮人」と歌ったりしていますよね。

小針 排外的なフレーズが、まるで娯楽感覚ですね。どういう人たちが参加しているんですか?

安田 下は中学生から上は70代まで、老若男女問いません。よく、差別デモに参加するのはフリーターなどの非正規労働者や、若い低所得者だと言われます。私もかつてはそう考え、日常生活への鬱屈した不満が「韓国」や「在日」への罵倒へと転化されていると考えていました。そうした人も少なくありませんが、現状を見ると女性やサラリーマンの姿も目立つ。一見して「普通の人」たちです。あらゆる属性の日本人が差別を楽しんでいる。

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