ナゾを呼ぶ 朝日新聞に登場した2人の“ホームレス歌人”
2014年2月27日 掲載
話題になっている「朝日歌壇」
再来というのは、08年暮れから「朝日歌壇」の常連となった公田耕一氏が、ホームレス歌人として世間の注目を浴びたからだ。この年の冬はリーマン・ショックの余波で失業が相次ぎ、年越し派遣村がつくられた。公田氏の最初の一首は〈(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ〉で、彼はこの年の“冬の厳しさの象徴”となった。
そして今、アベノミクスの狂騒の中、2人のホームレス歌人が再び現れた。「景気回復」なんて幻想で、リーマン・ショック直後と社会状況は変わっていないのではないか、そんな気分にもなってくるが、もちろん、「ホームレス」ならば連絡手段はない。朝日の広報部も宇堂氏や坪内氏が“本物”かどうかは確認しようがないという。
前出の公田氏のうたについて、あまりの反響の大きさから、朝日は「天声人語」をはじめ、紙面を通じて公田氏に名乗り出て欲しいと呼びかけた。テレビや写真週刊誌も素性を暴こうと追いかけたが、結局、公田氏は姿を現さず、初掲載から約9カ月後に入選が途絶えた。あるジャーナリストが振り返る。