(前回から読む)
オバマ訪韓を実現し「日本のオウンゴール」と大笑いしていた韓国人が、自らの「オウンゴール」に気が付いてやきもきし始めた。ただ、米国が掘った落とし穴に韓国がはまった側面も強い。
朴槿恵大統領が落胆する
「オバマ訪韓問題」が世界のメディアに初登場したのは1月22日。中央日報の「オバマが韓国だけそっと外してアジアを回るだろうか」という記事だ(注1)。
(注1)この記事の日本語版はここで読める。
筆者はブッシュ政権時代に国家安全保障会議(NSC)でアジア担当部長を務めたビクター・チャ・ジョージタウン大学教授。なかなか意味深長な記事である。ことに興味深い部分は以下だ。
・オバマ大統領のアジア歴訪で、日本とフィリピンへの訪問は確実視されている。米国のアジア太平洋地域の他の2つの同盟国は訪問するというのに1国だけ除くのは想像しがたい。朴槿恵大統領を落胆させるだろう。
別段、韓国は外されていたわけではない。フィリピンには“優先権”があった。2013年の米連邦政府の閉鎖のあおりでオバマ訪問が取り消された経緯があったからだ。日本は1年間も前からオバマの国賓訪問を要請していた。
国際会議への参加という形を含め、オバマ大統領は韓国を過去3回も訪問している。メキシコをのぞけば欧州の同盟国である英・独・仏と並び最多の訪問回数(2013年末現在)だ。
さらに米国は2014年10月のAPEC参加の際に北京で朴槿恵大統領と会談できる、とも韓国に約束していた。
韓国は毅然とした外交をせよ
12月26日の安倍首相の靖国参拝で日米間に亀裂が入ったと韓国は判断、オバマ誘致に本腰を入れた。その際の「オバマが日本に行く以上は韓国にも来てもらわないと、歴史問題で米国が日本に軍配をあげたように見える」との説得は、本音でもあった。
ただ、4月訪韓が実現しないと「朴槿恵大統領が落胆する」ほどに韓国が大騒ぎになっていたわけでもなかった。
『中国という蟻地獄に落ちた韓国』