まさのひとりごと

主に日本経済を中心に語っていきます。


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保護政策の必要性を唱えていると『関税が高くなれば機関車トーマスが高くなる!』などと吐かす阿呆がいる。彼が新自由主義論者か支那共産党の手先ならば納得のいく批判だが、財政出動論者であり、自称保守である。となればケイジアンであろう。ケイジアンならば乗数効果の海外漏出を懸念するはずだ。


しかし、財政出動の海外漏出については、なぜかマンデルフレミングモデルを持ち出し『金融緩和すれば問題ない』と言い出すのだ。

ケイジアンならばミンスキーも読んでいるはずで、通貨安競争がもたらす金融不安定化にも言及するのかと期待していると、これである。


一体どのようなゲシュタルトなのかと思えば、どうやら某ネット番組に出演する経済評論家達の付け焼き刃な議論を繰り返しているだけなのだ。


円安が過度に進めば中国製の機関車トーマスは高くなると思うのだが…


はっきり言って阿呆なのだ。阿呆の特徴は自己正当化にある。その自己正当化による心理的盲目からゲシュタルトを破壊し、再構築出来ない人間が阿呆だと私は思っている。


保護政策論者は貿易を否定しているのではない。過度な自由貿易による先進国の労働者の賃金抑制や雇用喪失に伴う総需要の低下を懸念しているのである。この辺りはエマニュエル・トッドの書籍を参考にされたい。


端的に言えば、機関車トーマスを作る国内の町工場は機関車トーマスを作るために日本国民を雇用している。労働者は機関車トーマスを作ることで賃金を得る。その賃金をまた日本国内で作られた商品やサービスを購入することで日本国内に雇用が生まれる。また、機関車トーマスを作り販売することで超過利潤が生まれると見込むため、経営者は銀行からお金を借入れ、銀行はお金を貸す。『機関車トーマスを作り続けるだろう』という予測から労働者はローンを組みマイホームを購入したり、結婚に踏み切る。

このようにお金を借りることで、信用乗数か働き、マネーストックが増える。同時に投資や消費により需要が喚起され物価は上昇する。物価が上昇するから企業や消費者はお金を借りて投資や消費を繰り返す。設備投資により労働時間が短縮されても、価格と販売量が維持されたなら売上総利益は増えるため、労働者の給料は下がらないだろう。また、貪欲な消費意欲があれば海外旅行やスイスの高級腕時計やイタリアやドイツの高級車などを購入する消費者もいるだろう。


しかし、機関車トーマスを中国で作ればどうなるか?日本の町工場は閉鎖され、労働者は解雇される。こうなると、お金を借りて投資や消費をすることは無いだろう。また、『いつ町工場が海外に出て行くか分からない』という不安が頭をよぎれば労働者はマイホームや結婚に踏み切れない。それだけ需要は失われる。


機関車トーマスの町工場だけでなく、縫製工場、製紙工場、木材加工、林業、食品加工工場などがどんどん中国に行けばどうなるか?モノの価格が下がると同時に、日本国民の労働需要も落ち込む。労働需要が落ち込めば所得が落ち込み、家計消費も落ち込む。


モノの価格が下がるメリットを日本経済全体が享受出来ないのである。モノが下がってもその分を他のモノやサービスに回したり、貯金が企業の国内投資に回ればデフレにはならないだろうが、様々なモノの価格が下がり、差額が消費や投資に回らなければデフレとなる。デフレとなれば三流経済評論家が指摘する『デフレ『不況』』が始まる。もちろんお金を借りるという行為も減るだろうからマネーストックは増えない。


ちなみに今よりも関税が高く、金融自由化も進んでおらず、需給調整規制も強かった1980年代までの方がマネーストックは強力に伸びている。


そこを無視して『財政出動と金融緩和でデフレ脱却すれば日本経済が抱える問題の大半が解消される』と主張しているのが三流経済評論家であり、それを採用し、TPPや構造改革の危険性を理解していないのが安倍晋三である。


日本国民の労働需要が減り、雇用不安定化や低所得化が進めばより良い品を求める輸入が減り、安物買いのための輸入が増えてしまう。


この辺りのことを真剣に考えている人は『機関車トーマスが高くなる!これからはサービス業だ!』などと戯言を言うはずがない。

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