例えば使用期限のある地域振興券10万円分を国民に配れば確実に景気は良くなる。そこは否定しない。
しかし、問題はいくつかある。
グローバル化や構造改革により、雇用不安定化や低所得化が進んだ結果、日本国内に将来不安が蔓延しており、多くの家庭は地域振興券でモノを買うが、その結果、使わなかったお金を貯金に回す可能性がある。
小売業やサービス業には確実に波及するが自由貿易の結果、製造業などに地域振興券が生み出す経済効果の全てが波及する可能性は低い。中国で組み立てたMacを購入代金に回せば、日本のパソコン組み立て工場の雇用には結びつかない。
需要の先食いの懸念。地域振興券により大きな買い物が増えたとしても、それが需要の先食いなら賛成しかねる。『最初のエコカー減税は大きな効果を得たが、二回目のエコカー減税は効果が殆ど無かった』と自動車ディーラーの友人が語っていた。恐らく自動車買い替え時期に、購入出来る余裕がある消費者のマインドを刺激しただけの可能性が高い。本質的な問題の解決にはなっていない。
あくまで地域振興券は景気刺激策であり、本質的な日本経済の構造を是正しない限り、根本的解決には至らない。