衣類の関税率を300%という途方もない数字に引き上げよう。
この場合は一気に衣類だけでなく古着まで価格が引き上がり、日本国民の物質的豊かさは破壊される。
今は赤ちゃんでもいろいろなオシャレな服を着ているが、この異常な関税率引き上げは『短パンにランニングの鼻垂れ小僧』が急増する恐れがある。
さらには洋服店などの倒産が起きたり、縫製工場の乱立も起きるだろう。また、衣類の大半は中国製であり、中国は報復関税に出る。急激な報復関税は日本の資本財輸出をストップさせる。また、中国のことだから報復関税どころか資源の輸出をしない可能性すら出てくる。
ただでさえ、オリンピックと老朽化インフラ対策、復興により建設供給が問題となっているにも関わらず、縫製工場需要が異常な高まりを見せれば異常な建設費の高騰すら発生する可能性がある。
また、衣類価格の上昇により、家計が他分野への消費を抑制させれば日本経済全体ではマイナスとなりかねない。
そんなこと百も承知なのである。誰がそんなことをしようと言っているのだろう?
ふ・ざ・け・る・な!
現在の衣類の関税率はおおよそ10~15%程度であり、これを20%~35%程度に引き上げればどうなるか?
無論、衣類の価格は上がるだろうが、鼻垂れ小僧の急増はあり得ないレベルだろう。私は縫製の専門家ではないから詳細を決めつけることは出来ないが話を続ける。
この関税率の引き上げにより輸送コストを含めた中国製に対して、『手法次第で対等に戦える』と考える経営者がおり、経営計画書を作成し、銀行に融資を求めたとする。銀行もその経営計画書に納得し、融資をする。
この時に生まれるのは工場建設と縫製機器、不動産の需要、そして、金利と信用貨幣である。建設会社、警備会社、不動産会社、縫製機器メーカー、銀行に経済効果が波及する。
さらに採用活動により求人会社に波及し、マットやモップなどの清掃レンタルから給食会社にも仕事が発生するだろう。社用車を購入すれば自動車メーカー、販売店にも波及する。
縫製工場建設と経営により経済効果が波及した企業から、さらに他の企業へ経済効果は波及していくだろう。
さらに、国内での縫製が増えれば縫製の専門学校も増えるかも知れないし、洋服についているボタンや貴金属の工場も国内に増えるかも知れない。
ここでは政府の財政支出は一切発生していない。中国に対しても怒りを買うほどの関税率引き上げではないだろう。
ユニクロなどの株を持つ『投機家』や、海運業、中国の縫製工場はデメリットがあるだろう。しかし、日本経済全体としてのメリットは大きいかも知れない。
ここではっきりと『メリットが大きい!』とは言い切れない。誤謬が存分にあるだろうから。私は三流経済評論家のように『これが正しい経済政策なのだ!』とは言いたくない。
ただ、意見の一つとして、議論して欲しいのだ。