Financial Times

タイが次のウクライナのように見える理由

2014.02.28(金)  Financial Times

(2014年2月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

タイ、デモ隊が臨時首相官邸を包囲

タイ・バンコク郊外の国防省庁舎に設置された臨時の首相官邸の外で国旗を振る反政府デモの参加者ら〔AFPBB News

潜在的におぞましいことがタイで起きようとしている。ここ数週間、世界の関心は当然のことながらウクライナに集まっている。だが、東南アジア第2の経済大国での政治的行き詰まりは、ウクライナと同じくらい解決困難だ。

 より深刻な暴力が街頭にあふれ出す可能性が現実のものになっている。過去数十年間で初めて、比較的貧しい北部が、バンコクを中心とする、概して豊かで都市化された南部から割譲され、タイが2つに分裂する可能性がささやかれるようになっている。

 もちろん、タイが分裂に至る必要はない。結局、タイの政治危機は何年もの間くすぶってきた。タイは、軍事クーデターや無効にされた選挙、時として起きる流血の事態にもかかわらず、何とか歩み続けること、そして外国からの大量の投資と多くの観光客を引きつけることにも成功してきた。

これまでも政治危機はあったが・・・

 だが、紛争の主な当事者双方は今、これまで以上にその立場を固めている。暴力が拡大して本当に恐ろしい結果をもたらすことを防ぐためには、一方あるいは双方が引き下がらなければならない。

 何カ月もの間、街頭では亡命した元首相タクシン・チナワット氏の妹、インラック・チナワット氏の政府に対する抗議行動が展開されてきた。抗議者たちは、政府は2006年のクーデターで失脚し、その後国家権力乱用と汚職の罪で有罪判決を受けたタクシン氏の隠れ蓑にすぎないと言う(タクシン氏の弁護士たちは、裁判は政治的動機によるものだったと言う)。

 抗議行動を引き起こしたのは、タクシン氏に恩赦を与える法案を可決しようとする皮肉な試みだ。

 インラック氏は、2月に解散総選挙を行うことで危機を食い止めようとした。この作戦はうまくいかなかった。20年間選挙で勝利を収めたことがない野党は投票をボイコットし、投票所を封鎖した。投票率にはムラがあった。

 インラック氏の党は勝利したが、それは犠牲が大きすぎて引き合わない勝利だった。インラック氏は、合法的な政府を樹立できるまで、対抗馬のいなかった選挙区での補欠選挙を待たなければならない。その間は力のない暫定政府のトップを務める。閣僚たちは密かに会ったり、電子メールで連絡したりしている。

 抗議者たちは、文字通りインラック氏の首相官邸の周り…
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