ブログ等のウェブサイト上で、あえて極論ともいえる大雑把な議論を展開したり、読んだ人が眉をひそめるような、不謹慎な行為を露悪的につづった文章等のコンテンツを紹介し、人々の注目をあつめることによって金銭的な対価を得る行為を、ここでは炎上商法と呼ぶことにします。
炎上商法の悪質さ
炎上商法が嫌われているのに、そのことによってますます根絶しがたいものになっている理由は、極論や不謹慎な体験をつづったコンテンツが批難されればされるほど、それを公開した人が多くの金銭的対価を得られるということにあるでしょう。この循環を断ち切るには、「炎上」が発生するメカニズムを考えてみる必要がありそうです。
すなわち、
- 炎上商法を行うA氏が、炎上を狙ったコンテンツを公開する。
- はてなブックマーク等のソーシャルサービスによってネット上に拡散される。
- A氏(とそのコンテンツ)にたいして批判的なブックマークコメントや、反論記事が公開される。
- 3の反論コンテンツを読んだ人々が、「炎上元」を確認しようとしてA氏のコンテンツを閲覧する。
- A氏のコンテンツに掲載されたアフィリエイトリンク等によって、A氏が金銭的対価を得る。
上記の「4」で、A氏を批判するコンテンツのPVが増えれば増えるほど、A氏のコンテンツにトラフィックが集まり、A氏の得る金銭的対価が増えます。
A氏を批判して、A氏のコンテンツがこれ以上ネット上で広まらないようにしたいと願っている人たちは、自らの行為によってますますA氏を利することになり、そのことを腹立たしく思っているものの、やめることができません。
炎上商法を止める方法
閲覧者を不快な気持ちにさせる記事を公開し、金銭的対価を得る行為をやめさせるためには、そのようなことをする人のコンテンツにトラフィックが集まらず、金銭的対価が得られないことを学習させる必要があります。つまり、炎上商法を狙う人に対して、あなたはべつに有名人でもなんでもないのですよと教えこむ必要があります。それは以下のように大きく2つの方法に分かれると考えられます。いずれにせよ、時間がかかる方法です。
1.無視する
はてなブックマーク等で、炎上商法を狙う人のコンテンツが、トップページに現れた時に、クリックしないようにします。これはわたしたちユーザーの側で自制するか、なんらかの技術的解決法によって、炎上商法を狙う人のコンテンツを体系的に非表示にすることで行います。
いくら腹がたっても、炎上商法を狙う人の悪口をネット上で言ってはいけません。どのようなかたちであれ、彼らに言及すること自体によって、彼らのコンテンツにトラフィックが集まり、彼らが金銭的対価を得ることになります。ひたすら無視するしかありません。
2.言及しなくてはいけないときには、かならずレッテルを貼る
炎上商法を行う人についてどうしても言及しなくてはならない時は、毎回、その人が炎上商法を行う悪質な人であることを一言付け加えます。たとえば、炎上商法を行うA氏という人物について言及するときは、毎回次のようなテンプレート的な言い回しで言及します。
- 不謹慎な記事を投稿することでお金儲けすることが好きな、悪質なA氏は○○○といっている。
- 炎上商法でデマを流すことで有名なA氏は、○○○をした。
- ネット上で他人を馬鹿にすることで金銭的対価を得ようとしているA氏は、○○○について☓☓☓といっている。
このような言い回しをいくつかストックしておき、「A氏」という単語を出す前に、必ず毎回挿入します。
この方法を実行することにより、わたしたちは暴力を振るわず、合法的に、炎上商法を行う人の居場所をネット上から少しずつなくすことができます。
他人を傷つけるような文章を書いたり、読んだ人を不快にする極論を書いて自分のコンテンツにトラフィックを集めようとする人は、どんなことを言おうと自分の自由だと、表現の自由に訴えようとします。そのような人の住所を特定して脅迫したり、サイト上にマルウェアを仕込んだりする暴力的行為はますます相手の行為を正当化し、相手に金銭的対価をもたらします。私達ができることは、合法的な手段で、時間をかけて少しずつ、ネット上で炎上商法を行う人の評判を下げていき、その人の名前が現れるときにはかならず悪評を伴っている事態をネット上でつくり上げることしかないと思われます。